八戸駅西土地区画整理、市が3月に「最後の計画変更」 問われる実行力

土地区画整理事業が進行中の八戸駅西エリア。八戸市は2033年度の事業完了を目指している=20日
土地区画整理事業が進行中の八戸駅西エリア。八戸市は2033年度の事業完了を目指している=20日
八戸駅西側エリアで進行中の八戸駅西土地区画整理事業について、施行者の八戸市は今年3月、大幅に計画内容を変更した。完了時期は5年延長して2033年度を見込み、総事業費は40億円増の280億円に拡大。1997年度の事業開始以降、今回で6度目の見.....
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 八戸駅西側エリアで進行中の八戸駅西土地区画整理事業について、施行者の八戸市は今年3月、大幅に計画内容を変更した。完了時期は5年延長して2033年度を見込み、総事業費は40億円増の280億円に拡大。1997年度の事業開始以降、今回で6度目の見直しとなったが、市は「今後は計画通りに実施できる」との認識を示す。駅西地区は新たな住宅地に姿を変えた一方、住民の家屋移転を含めた事業全体の遅延は長年の課題だ。“最後の変更”と掲げた計画に沿って着実に事業を進められるか、市の実行力が問われている。[br][br] 土地区画整理事業は、02年12月の東北新幹線八戸開業に先立ち、北奥羽地方の玄関口にふさわしい市街地の形成を図ることを目的に事業着手した。[br][br] 市駅西区画整理事業所によると、施行面積は96・7ヘクタール。立ち上げ段階の計画では13年度で終了する予定だったが、予算措置の難航などで事業は大幅に遅れ、これまで3度にわたり期間は延長された。さらに今回の変更では、清算期間の5年を含めて33年度に延びたため、当初計画からは20年もずれ込むことになる。[br][br] 総事業費は249億6千万円でスタートした後、06年度には240億円に減額されたが、現在は280億円に膨らんだ。人件費など工事費の上昇で、建物移転補償費や建設費が増えたほか、消費税率の引き上げも増額の要因となった。[br][br] 20年度末時点では、計画変更後の総事業費に対し、実施済みは約216億円で、事業費ベースの進捗(しんちょく)率は77・1%となっている。[br][br] 事業進展のポイントだった家屋移転は見通しが立ち、区画整理後の土地の登記や都市計画道路の整備を含めた全体工事は28年度までの終了を目指す。移転対象の家屋は全646戸中、82・2%に当たる531戸の移転が完了。都市計画道路は総延長7538メートルのうち、5058メートルが完成し、進捗率は67・1%となった。[br][br] 一方、事業の進行に合わせて駅西地区は宅地化が進み、居住人口が増加。03年時点の調査では730世帯、計1986人だったが、直近20年は1143世帯、計2827人に伸長した。[br][br] 駅西地区では、昨年4月に多目的アリーナ「フラット八戸」がオープンし、市街地開発が大きく動いた。ただ、駅西口からアリーナに連結する道路「シンボルロード」(延長179メートル)沿いは商業エリアに位置付けられているが、新型コロナウイルスの影響もあって商業施設の出店はゼロだ。[br][br] シンボルロード沿いの土地のうち、3分の1程度を保留地予定地として所有する市は利活用に向け、コロナ禍で先送りしていた企業などへの意向調査を本年度中に実施する予定という。[br][br] 新幹線開業に伴う土地区画整理事業は、八戸のまちづくりを左右する一大事業でもある。総事業費280億円のうち、財源は社会資本整備総合交付金など国負担が52億4千万円、保留地処分金が35億4千万円の見込みで、残りは市が一般財源と起債を充てる計画だ。[br][br] 同事業所の舘花正義所長は「事業完了に向けてスケジュールを組み立てた。家屋移転や建設工事をできるだけ早く、着実に進めていきたい」と話している。土地区画整理事業が進行中の八戸駅西エリア。八戸市は2033年度の事業完了を目指している=20日