処理水海洋放出「誰も同意しない」 漁業関係者は風評被害懸念

政府が東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した後の処理水を、海洋に放出する方針を固めたことに対し、青森県内の漁業関係者からは9日、反対意見や風評被害が出るとの不安の声が相次いだ。年々、悪化する不漁と新型コロナウイルスの感染拡大に伴う魚価低迷で.....
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 政府が東京電力福島第1原発の汚染水を浄化した後の処理水を、海洋に放出する方針を固めたことに対し、青森県内の漁業関係者からは9日、反対意見や風評被害が出るとの不安の声が相次いだ。年々、悪化する不漁と新型コロナウイルスの感染拡大に伴う魚価低迷で疲弊するハマに、新たな懸念材料が降り掛かっている。[br][br] 八戸港では2012年6月、原発事故の影響で、八戸沖で漁獲されたマダラから基準を超える放射性セシウムが検出され、同年11月まで約4カ月半にわたり出荷が制限された経緯がある。[br][br] 県機船底曳網漁業連合会の川村嘉朗会長は当時の状況を踏まえ、「魚を焼却処分し、漁もできなかったが補償はわずか。本当に痛い目に遭った。県内の漁業者は誰も海洋放出に同意しない」と語気を強める。今後については「上部団体と連携して対応したい」と語った。[br][br] 八戸みなと漁協の尾崎幸弘組合長は海洋放出による風評被害を懸念し、「他の地域で(汚染されたという)魚の名前が出ると、八戸でも値がどんと下がる」と指摘。コロナ禍で魚価が低迷する現状も挙げ「追い打ちを掛けられる。漁業者の生活はあがったりだ」と天を仰いだ。[br][br] 「どの程度の影響があるかは分からないが、絶対に安全とは言えずに不安。やめてほしいのが本音だ」と漏らすのは、六ケ所村の30代男性漁業者。 県漁連の熊木正徳専務理事は「全国の各漁連と足並みをそろえ、断固反対の方針を示してきた。風評被害対策や安全性の説明を徹底してもらうことが重要」と強調した。[br][br] 県水産振興課の白取尚実課長は「国から詳しい情報が届いていない。情報提供を求めつつ、今後の対応を検討したい」と述べた。