【北奥羽のクマ事情】(7)八戸周辺 活動ルート複数

撮影する筆者を草むらからうかがうツキノワグマ=2020年9月、秋田県鹿角市田代平
撮影する筆者を草むらからうかがうツキノワグマ=2020年9月、秋田県鹿角市田代平
「マタギ」と呼ばれる狩猟集団が廃れると、クマは人間を怖がらなくなります。山際の農地が放置されて里山の活動が減り、逆に動物は活動域を広げます。そこに栗や柿が生えているとなれば、クマとしても魅力的です。 よく言われるのは、ブナやドングリの不作で.....
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 「マタギ」と呼ばれる狩猟集団が廃れると、クマは人間を怖がらなくなります。山際の農地が放置されて里山の活動が減り、逆に動物は活動域を広げます。そこに栗や柿が生えているとなれば、クマとしても魅力的です。[br][br] よく言われるのは、ブナやドングリの不作で人里に出てくること。これは、不作のほかにナラ枯れが北上していることもあります。北陸地方のクマ出没は、これが原因かもしれません。[br][br] 実際、クマが食べているものは、春先はミズバショウ、タケノコ(ネマガリダケ)、セリ類、ブナの若芽。夏は山桜の実、キイチゴ類。秋はヤマブドウ、栗、ドングリ、ブナの実など草食中心です。さらに動物の死体などもあれば食べます。[br][br] 山から下りてきたクマは、農地で栽培される大豆、ソバ、さらには米のもみを食べるクマもいるようです。リンゴや柿なども食害に遭います。特に昨年はステイホームが叫ばれ、春から夏にかけて人の活動が制限されたことが、クマの活動を助けた部分もあるのではないでしょうか。[br][br] 八戸周辺にもいくつか活動ルートがあるようで、一つは高館地区。北バイパスや、東北本線西側から高館方面に来るようです。海上自衛隊八戸航空基地内に入り込んだ個体もありました。[br][br] 最近多いのは白山台地区での目撃。これは是川天狗沢地区の沢沿いに来るのだと思います。そして是川方面。これは白山台地区と同一かもしれません。以前は是川地区から八戸商高手前の辺りまで来ては2、3日とどまった後に戻る感じでした。同市是川差波地区に、ブナの大木が4本ほどあるのですがちゃんとクマの爪痕が刻まれています。[br][br] さらに階上町から八戸市金浜、鮫地区方面。これは階上岳から金浜川を伝い、国道45号線や三陸沿岸道路付近に入るようです。そして金浜地区の集落近辺から鮫地区方面へ行っているようです。[br][br] いずれも北上山系の北端から来ているように見えます。とはいえ頭数も少ないので、なかなかその姿は見ることができません。でも目撃情報からすると、毎年同じルートで来ていることは確かです。撮影する筆者を草むらからうかがうツキノワグマ=2020年9月、秋田県鹿角市田代平