【連載・つながる復興道】(5・完)道の駅建設ラッシュ

久慈地域4市町村が計画する広域道の駅の内観イメージ。大型遊具のあるキッズスペースも備える(久慈市提供)
久慈地域4市町村が計画する広域道の駅の内観イメージ。大型遊具のあるキッズスペースも備える(久慈市提供)
三陸沿岸道路は八戸市―仙台市間359キロのうち、有料区間は宮城県内の一部のみで実質的に無料の道路だ。一方、途中にサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)がほぼなく、利用者にとって不便な点も。東北王子運送久慈営業所(久慈市)の奈良聖一.....
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三陸沿岸道路は八戸市―仙台市間359キロのうち、有料区間は宮城県内の一部のみで実質的に無料の道路だ。一方、途中にサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)がほぼなく、利用者にとって不便な点も。東北王子運送久慈営業所(久慈市)の奈良聖一所長(48)は「東北道には10キロに1カ所ぐらいの間隔で休憩所があるが、三陸道にはない。それが唯一のデメリットだ」と語る。[br][br] 同社では安全のためにドライバーは2時間に1回、15分の休憩を取るように定めている。一般利用者もトイレ休憩は必要で、休憩所の有無は三陸道の利用を大きく左右しかねない。[br][br] 一方、本線上に休憩所がなく、インターチェンジ(IC)から国道への乗り降りが自由なことを逆手に取り、トイレ休憩したい客にICから降りてもらい、最寄りの道の駅や産地直売施設に立ち寄ってもらおうという取り組みが着々と進んでいる。[br][br] 全線開通による経済効果を取り込むため、岩手県北の市町村では道の駅や産直施設の改修、整備計画が相次いで浮上。建設ラッシュの様相を呈している。[br][br]   ◆    ◇[br][br] 久慈市は洋野町、野田村、普代村とともに同市夏井町の久慈北IC付近に広域道の駅を整備する。南部曲がり屋をイメージしたL字型の木造平屋で、今秋の着工、2023年春の開業を目指す。10年間の指定管理料を含む事業費は16億3776万円。久慈地域の経済活性化を担う重要プロジェクトだ。[br][br] 駐車場151台(大型車20台)のほか、大型遊具のあるキッズスペースや物販施設、フードコート、屋根付きのイベント広場を備える。地域に人を呼び込む玄関口として、既存施設や近隣町村に人の流れをつくる役割も担う。[br][br] 整備に至った背景にあるのは、三陸道の起終点となる八戸市に開通効果が集中するのでは―という危機感だ。遠藤譲一市長は八戸との交流活発化を期待する一方、「何も手を打たなければ、多くの車が八戸に向かう。久慈地域にも降りてもらう仕掛けが必要だ」と指摘する。[br][br]   ◇    ◆[br][br] 久慈地域や周辺では、同様の整備計画が相次ぐ。野田村は単独でも仮称・野田IC付近に交流物産等複合施設の建設を計画しており、21年度に基本設計、22年度の完成を目指す。普代村では、三陸鉄道普代駅に道の駅を併設する準備を進めているほか、さらに南の田野畑村でも移転新築した道の駅が3月28日にプレオープンする予定だ。[br][br] 一方、地域にはくじ、のだ、おおの(洋野町大野)、やまがた(久慈市山形町)といった既存の道の駅もある。開通をきっかけに施設数は一気に増え、新旧の施設で客の奪い合いとなることも想定される。[br][br] 広域道の駅整備推進室(市総合政策部)の夕向司室長は「競争が生まれても、それを良い方向に変え、地域全体の魅力向上につなげたい」と強調。今後、各施設間の競争を相乗効果に変え、地域全体の集客力を高める取り組みが求められる。[br][br]連載(1)「変わる流れ」 https://www.daily-tohoku.news/archives/57475[br]連載(2)「八戸の優位性」 https://www.daily-tohoku.news/archives/57562[br]連載(3)「復興バブルの終焉」 https://www.daily-tohoku.news/archives/57653[br]連載(4)「光と影」 https://www.daily-tohoku.news/archives/57773久慈地域4市町村が計画する広域道の駅の内観イメージ。大型遊具のあるキッズスペースも備える(久慈市提供)