【震災10年 復興の歩み】(3)三沢市 水産施設、急ピッチで復旧

復旧した三沢市魚市場の荷さばき施設。復旧後は衛生管理強化に向けてひさしなどが設置された=同市港町2丁目
復旧した三沢市魚市場の荷さばき施設。復旧後は衛生管理強化に向けてひさしなどが設置された=同市港町2丁目
東日本大震災で2人が犠牲となった三沢市。住家41棟が全半壊、農業用排水路が損壊するなど、被害は市内全体で総額78億円余に上った。特に、高さ約8メートル(佐々木幹夫八戸工業大名誉教授の調査による)もの津波に襲われた三沢漁港の関連施設を中心に、.....
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 東日本大震災で2人が犠牲となった三沢市。住家41棟が全半壊、農業用排水路が損壊するなど、被害は市内全体で総額78億円余に上った。特に、高さ約8メートル(佐々木幹夫八戸工業大名誉教授の調査による)もの津波に襲われた三沢漁港の関連施設を中心に、市の基幹産業の水産業関係が被害額45億円余と甚大な打撃を受けた。[br][br] 水産関連では、市魚市場の荷さばき施設をはじめ、製氷貯氷施設、市漁協が入居していた市漁民研修センターなどが壊滅的な被害を受け、多くの漁船、漁具が失われた。スルメイカやホッキガイの水揚げで使う青森県所有の浮桟橋4基は全て流失、一部が米国西部に流れ着いた。[br][br] 被災直後は誰もが先を見通せない状況だったが、米軍や自衛隊、災害ボランティアらの支援により、がれきの撤去などが急ピッチで進行。水揚げは2カ月足らずで再開され、水産関係者や市民に希望をもたらした。[br][br] 浮桟橋は全4基が半年後に復旧。荷さばき施設は改修を進め、市場内で使う海水をくみ上げるポンプ施設などを更新した。市漁民研修センターは2014年11月までに、国道338号沿いの高台に移転、新築。海産物を扱う直売所も併設された。[br][br] 震災から約3年8カ月、漁港関連施設は全面復旧を果たした。[br][br] 復旧した市魚市場は衛生管理強化に向け、荷さばき施設を増築したほか、日差しや雨をよけるひさしを設置。新築した荷さばき施設別棟と共に20年3月、大日本水産会(東京)の「優良衛生品質管理市場」の認定を受けた。[br][br] 市漁協の門上馨組合長は復旧の道のりを振り返り、多くの援助に謝意を示す。「種市一正前市長をはじめ市と共に、復旧ばかりでなく復興につなげるんだとの強い思いを持って取り組んできた。当時の思いを忘れず関係者が一丸となって取り組めば、さらなる発展につながるはずだ」と力を込める。[br][br] この10年の間、市内には新たな防災拠点が誕生した。17年10月、同市南山地区に開館した市国際交流スポーツセンターは、大規模災害発生時には最大1184人を収容する避難所となる。約4千人が3日間過ごせるだけの食料や飲料水、毛布などを保管できる備蓄倉庫を備えている。復旧した三沢市魚市場の荷さばき施設。復旧後は衛生管理強化に向けてひさしなどが設置された=同市港町2丁目