【北奥羽のクマ事情】(5)栗林への移動現場目撃

草むらを出て道路を渡るツキノワグマ=2020年9月、秋田県鹿角市田代平
草むらを出て道路を渡るツキノワグマ=2020年9月、秋田県鹿角市田代平
普段なら撮影が難しい野生のクマですが、昨年夏に何らかの形で撮れるようになりました。「だるまさんが転んだ」を遊ぶように徐々に間合いを詰めて近づき、撮影しました。やがて5メートルほどの距離からも撮影できました。車を走らせていると、道路に出てきた.....
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 普段なら撮影が難しい野生のクマですが、昨年夏に何らかの形で撮れるようになりました。「だるまさんが転んだ」を遊ぶように徐々に間合いを詰めて近づき、撮影しました。やがて5メートルほどの距離からも撮影できました。車を走らせていると、道路に出てきたクマが引っ込んでしまいます。写真は、車を止めて5分ほど待ち、再び出てきたところを撮影したものです。クマは目的があって動いているので、少々邪魔が入っても諦めません。[br][br] その後、10月には畑に姿を見せなくなりました。畑の大豆は枯れて硬くなっていました。食べるものが変わったのでしょう。[br][br] 山を見れば、樹木の樹冠にヤマブドウが実っています。撮影現場へ行き来する際、道路脇にあるブドウのツタに気を付けながら走っていたら、十和田市宇樽部で木登りをするクマを目撃しました。[br][br] 車を止めてカメラを向けると、クマもこちらをにらんで枝を渡ってきそうな様子。それでも巨木の上に、間には断崖があります。その距離は10メートルほど。にらまれてちょっとびびりましたが、何とか撮影できました。[br][br] 20分ほど向き合って向こうも飽きたのか、毛繕いを始め、木の上を見詰めて雄たけびを上げてから、木に鋭い爪を引っ掛けてするすると登っていきました。そして、樹冠の葉の中に隠れて分からなくなったのです。これでは、山の中でクマを探すのは難しいと思いました。[br][br] 案の定、何回通ってもクマを見ることができません。おそらく栗に向かったのだろうと思いました。実は熊取平の奥に、栗林目当ての植林が行われているのです。[br][br] これはクマを育てているようなもの。実際に熊取牧場側から栗林の方へクマが複数移動する場面を見掛けました。でも、この奧はやぶが濃くて近づけませんし、間合いの取りようもありません。[br][br] 雪が降り始めてから農地の奥へ行ってみると、クマが枝を折って栗の実を食べた痕跡が多数ありました。このように、クマの撮影には、クマが何を食べているかを考えることが近道かと思います。草むらを出て道路を渡るツキノワグマ=2020年9月、秋田県鹿角市田代平