えんぶりの伝統引き継ぐ子どもたち 地域で練習成果披露へ

参観日に向けて練習に励む階上小の児童=12日、階上小
参観日に向けて練習に励む階上小の児童=12日、階上小
みんなを喜ばせたい―。新型コロナウイルスの影響で、1927年以来の開催見送りとなった「八戸えんぶり」(17~20日)。例年にない静かな春を迎えようとしている八戸地方に元気を届けようと、子どもたちが決意を新たにしている。伝統芸能の担い手たちは.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 みんなを喜ばせたい―。新型コロナウイルスの影響で、1927年以来の開催見送りとなった「八戸えんぶり」(17~20日)。例年にない静かな春を迎えようとしている八戸地方に元気を届けようと、子どもたちが決意を新たにしている。伝統芸能の担い手たちは行事の中止にもめげず、代わりに用意された発表の場に向けて全力で練習に励む。[br][br] 階上町立階上小(小野隆雄校長)では、地元の鳥屋部えんぶり組の指導を受け、「階上小子どもえんぶり」として八戸えんぶりに参加してきた。全校児童13人の小規模校で、1年生から太鼓や手平鉦(てびらがね)、祝福芸などにチャレンジ。上級生はえんぶり組の「おじいちゃん」から教わってきたように、下級生に優しくこつを助言し、本番に向けて準備していた。[br][br] だが、新型コロナの影響で、大勢の市民の前で練習の成果を披露できなくなったばかりでなく、地域の行事への出演も軒並み中止となった。子どもたちが観客の前に立ったのは、昨秋の学習発表会の一度きりだった。そこで学校側が企画したのが、22日の参観日に合わせた「階上小お庭えんぶり」だ。[br][br] 12日には鳥屋部組から3人が指導に訪れ、リハーサルを実施。久保沢喜一副代表(65)が「上手だった。本番でも笑顔を忘れないで」と声を掛けると、児童もうれしそうにうなずいた。[br][br] 6年生3人にとっては小学校生活最後の舞台となる。西本彬君(11)は「今までで一番かっこよく踊りたい」、戸鎖結衣さん(12)も「来てくれた人に笑顔になってもらいたい」と楽しみにする。[br][br] 八戸市立北稜中(藤田浩司校長)のえんぶりクラブ約80人も、18日の同校での発表会を目標に練習に打ち込む。クラブは同校創立の1982年度の設立で、八太郎えんぶり組の指導を仰ぎ、伝統を受け継いできた。[br][br] 本年度は感染症対策で先輩が後輩へ着付けや化粧を教えられないなど、例年とは異なる活動を強いられた。さらに八戸えんぶりが中止となり、2年生にとって最後の一斉摺(ず)り参加の機会が失われた。[br][br] クラブで親方を務める2年の成田涼介さん(14)はショックを受けながらも、親方として仲間に励ましの声を掛け続けてきた。教員や地域の応援も受け、部員らは気持ちを切り替える。[br][br] 太夫として摺りを披露する予定の成田さんは「中学校から始めたえんぶりが、地域をつないでいると感じてきた。見る人に喜んでもらえるように力強い摺りを見せ、後輩へつなげたい」と力強く語る。参観日に向けて練習に励む階上小の児童=12日、階上小