むつ市が10月から、75歳以上の市民を対象に、路線バスを無料で利用できるようにする方針であることが15日、市への取材で分かった。高齢者の移動手段の確保とともに、利用者減少や新型コロナウイルスの影響で厳しい経営を強いられている事業者の支援が狙い。政府が普及を進めるマイナンバーカード取得者が対象となる。[br][br] 2021年度の一般会計当初予算案に事業費約1300万円を計上する。対象は下北交通、JRバス東北、川内交通バス、脇野沢交通の路線バスと、同市大畑地区の中心街と奥薬研を結ぶ大畑タクシー(デマンドタクシー)。路線バスで市外に出る場合、市内の料金以外は利用者の自己負担となる。[br][br] マイナンバーカード取得を前提に、路線バスやデマンドタクシーの無料乗車券を交付する方針で、市の広報紙で料金無料化の周知に務めるとともに、早ければ5月にも申請受け付けを始めたい考え。75歳以上の市民は約9千人いるが、2割程度の利用を見込む。[br][br] 市交通政策課の担当者は「高齢者の外出機会を確保し、生涯にわたって暮らしやすい仕組みにしていきたい」と期待を込めた。マイナンバーカード取得を条件にしたことについては「政府も普及に力を入れており、取得率向上の一助になれば」と語った。[br][br] 高齢者への支援では、これまで市など下北地域5市町村で構成する「下北地域公共交通総合連携協議会」が、運転免許証の返納者に対し、5千円を上限にバスの切符か定期券購入費用を助成しているが、1人1回限りだった。