【北奥羽のクマ事情】(3)黒光りする毛色 印象的

赤外線センサーを使って写したニホンツキノワグマ=2006年9月、田子町新田
赤外線センサーを使って写したニホンツキノワグマ=2006年9月、田子町新田
私がなぜクマを撮りたくなったか。それは初めて自然の中でクマを見て、とても美しかったからです。 場所は白神山地の櫛石山。赤石川の河畔でテント泊をした帰り、登山道の踏み跡とクロスする獣道があります。そこを過ぎて少し進むと、ガサガサとささやぶの音.....
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 私がなぜクマを撮りたくなったか。それは初めて自然の中でクマを見て、とても美しかったからです。[br][br] 場所は白神山地の櫛石山。赤石川の河畔でテント泊をした帰り、登山道の踏み跡とクロスする獣道があります。そこを過ぎて少し進むと、ガサガサとささやぶの音がして、振り返ると黒光りするクマがいました。[br][br] 小さなクマに見えましたが、今考えると成獣でしょう。ニホンツキノワグマは成獣で体長1・5メートル弱。体が黒いこともあり、意外と小さく見えます。[br][br] ニホンツキノワグマは、すごいスピードで走り去ります。私が登山道を通り過ぎるのを待っていたようです。その時、私は首に広角レンズ付きのカメラをぶら下げていました。[br][br] 当時はクマの知識として、子グマのそばに親グマがいると思っていたので、撮影どころではなく、茫然としながらも、親グマが出てこないか見ていました。それでも黒光りする毛色、そして盛り上がる筋肉の動きが印象に残りました。残念ながら、初遭遇の写真はありません。[br][br] その後もずっと、機会があれば撮りたい被写体でしたが、なかなか実現しません。[br][br] 2006年に田子町新田地区でクマ出没が続いた頃、しばらく仕事が終わると農道を走り、通いました。車のライトの先にクマの親子を目の前にしながら、バッテリーの接続が悪く、せっかくのシャッターチャンスを逃したことは、今考えても悔やまれますが、親子の月の輪が鮮やかでした。[br][br] 集落の真ん中の道に車を止め、ライトを消して見ていると、道路を渡る影は見えるのに撮れない。またトウモロコシ畑に食害の痕跡があるのに撮れない。そんな状況が続きました。やむなく考えたのが、センサー撮影です。動物写真家の宮崎学さんをまねて撮ってみました。[br][br] 周辺部の森から集落につながる獣道に、赤外線センサーを仕掛けたカメラを置いて、一晩待ちました。すると、何とか2コマ写っていました。その後も機会があれば撮りたいと思っても、なかなか撮れませんでした。赤外線センサーを使って写したニホンツキノワグマ=2006年9月、田子町新田