世界レベル目指し製氷技術に磨き YSアリーナ八戸

「世界で通用するリンクを作りたい」と製氷作業に励む武山靖さん(手前)=1月中旬、YSアリーナ八戸
「世界で通用するリンクを作りたい」と製氷作業に励む武山靖さん(手前)=1月中旬、YSアリーナ八戸
2019年秋に氷都・八戸のシンボルとしてオープンした屋内スケート場「YSアリーナ八戸」。これまで青森県ゆかりの選手や国内一線級の選手たちが同アリーナで開かれたスピードスケート大会に参戦し、今季は昨季に比べて好記録が続出している。もちろん選手.....
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 2019年秋に氷都・八戸のシンボルとしてオープンした屋内スケート場「YSアリーナ八戸」。これまで青森県ゆかりの選手や国内一線級の選手たちが同アリーナで開かれたスピードスケート大会に参戦し、今季は昨季に比べて好記録が続出している。もちろん選手個人の力が大きいが、良質なリンクも重要な要素の一つ。八戸市から指定管理を受け、製氷作業に取り組むエスプロモ主任の武山靖さん(53)は「記録が出る氷作りが分かってきた。今後も世界で通用するリンクを目指して、試行錯誤を重ねていきたい」と頼れる“裏方”を目指し、日々励んでいる。[br][br] YSアリーナは世界最高水準の設備を備える国内3番目の屋内スケート場。オープン直後の10月に開かれた全日本距離別選手権では、五輪金メダリストの高木美帆選手ら、日本を代表するスケーターも多く参加したが、氷に対して、選手からは「軟らかくて足が疲れる」といった率直な声も上がっていた。[br][br] 武山さんは、長根リンクで15年以上氷作りをしてきた製氷のスペシャリスト。しかし、長根リンクは、リンク下にあるパイプに不凍液を流して凍らせてきた一方、YSアリーナでは氷点下13度の液化炭酸ガスを流して氷を作るため、最初のシーズンはこれまでの経験やノウハウを生かせず、氷の固さや、粘りが不安定になってしまったという。[br][br] 選手の滑りを後押しするようなリンクを作りたい―。氷の質を改善するため、ナショナルチームの選手やスタッフなどに相談。製氷技術を一から見つめ直し、大会ごとに氷面温度を変えるなどして、好記録が出る氷を探った。[br][br] 試行錯誤の末、氷面温度を氷点下6・5~7・0度に保つと滑りやすい氷になることを発見。外気温や施設の客の入り具合などに合わせて、こまめに温度を変えることで、「氷の質を一定に保つ技術も身に付いてきた」という。[br][br] 万全のリンクコンディションで選手を迎えた今シーズンは、地元の中高生が各種目で新記録を次々更新。今月9~11日に行われた全日本ジュニア選手権では女子3000メートルで、北海道の高校生ら2人が、昨シーズン、高木選手が記録したリンクレコードを塗り替えるなど、氷の質の向上が目に見えて現れている。[br][br] 男子5000メートルなど4種目で県中学記録を保持する佐々木海地選手(白山台中)は「昨シーズンに比べて氷の乗り心地に安定感があり、滑りやすい」と評価する。[br][br] 2月中旬にはYSアリーナ初となる世界大会が開催される予定だったが、新型コロナウイルスの影響で中止に。氷の“世界デビュー”はお預けとなったが、武山さんは「滑る氷を追求し、選手の力を最大限に引き出すリンクを作っていきたい」と力を込めた。「世界で通用するリンクを作りたい」と製氷作業に励む武山靖さん(手前)=1月中旬、YSアリーナ八戸