【超高齢社会の先へ】ICT見守りシステム、青森での定着は

「地域課題に向き合った見守りシステムの構築が必要」と見解を示す小柳達也准教授=23日、八戸市
「地域課題に向き合った見守りシステムの構築が必要」と見解を示す小柳達也准教授=23日、八戸市
1人暮らしの高齢者が毎日の体調を自発的に発信することで、見守りや必要な支援に結びつける岩手県の「おげんき発信」は、地域の実情に合わせて改良を重ね、定着を図ってきた。岩手同様に深刻な少子化や過疎化の悩みを抱える青森県においても、地域で連携した.....
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 1人暮らしの高齢者が毎日の体調を自発的に発信することで、見守りや必要な支援に結びつける岩手県の「おげんき発信」は、地域の実情に合わせて改良を重ね、定着を図ってきた。岩手同様に深刻な少子化や過疎化の悩みを抱える青森県においても、地域で連携した見守り体制の構築が急がれる。ICT(情報通信技術)を活用した見守りシステムは青森に定着するのか―。地元の専門家は「時代や地域の実情に合わせてシステムを構築することが重要」と導入に向けた課題を指摘する。[br][br] 核家族化や地域社会の希薄化に伴い、見守り体制は民生委員や町内会の活動に頼る部分が年々、大きくなっている。ただ、見守る側の高齢化も進んでおり、八戸学院大の小柳達也准教授(社会福祉学)は「高齢者による高齢者支援が実践されている」と現状を説明。「人的見守りを補完していく上で、ICT活用の効果は大きい。先進的な事例に学びながら、地域の実情にあった活用方法を考えていくことが必要になる」と将来を見詰める。[br][br] 一方、ICTを使った見守り活動は、一歩間違えると高齢者にとっては「監視」と捉えられる可能性もある。「見守られる側」の高齢者が能動的に参加できるような仕組みづくりが必要で、自治体や社会福祉協議会など地域の福祉機関が対象地域の現状を正しく理解し、支援の在り方について住民と共に考えていかなければならないことを先進地の事例は示す。[br][br] おげんき発信の場合は岩手県立大が中心となり、民生委員や社協、企業などさまざまな機関や関係者と連携し、地域住民の声を取り入れながら構築や運用が進められてきた。[br][br] 小柳准教授は県立大が果たしている役割に注目。「高い専門性や資源を有する大学が、見守りシステムづくりに加わり、フィールドワークを通して評価や検証、関与者との多様な意見交換を行いながら進めてきたことが定着促進につながっている」と分析する。[br][br] 加えて、フィールドワークに学生が関わり、おげんき発信の仕組みを知る地域福祉の担い手が育成されている点も持続的な運用を後押ししているとみる。[br][br] 青森でのICT活用による見守りシステムの構築について、小柳准教授は「地域や制度などの状況は変化し続ける。評価や検証を続けながら、時代や地域住民の生活に合わせて見守りシステムを運用していくことが重要になるのでは」との見方を示す。「地域課題に向き合った見守りシステムの構築が必要」と見解を示す小柳達也准教授=23日、八戸市