【連載・東北新幹線全線開通10年】(2)2次交通

七戸十和田駅前に整備されたバス停。開業当初に比べ、路線は減少した=1日、七戸町
七戸十和田駅前に整備されたバス停。開業当初に比べ、路線は減少した=1日、七戸町
上北、下北両地域の玄関口として開業した東北新幹線七戸十和田駅。駅から目的地までの2次交通として整備された路線バスは、この10年間で下北方面が全線撤退した一方、十和田方面は一定の利用客を維持するなど明暗が分かれている。特に下北方面へ向かう観光.....
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 上北、下北両地域の玄関口として開業した東北新幹線七戸十和田駅。駅から目的地までの2次交通として整備された路線バスは、この10年間で下北方面が全線撤退した一方、十和田方面は一定の利用客を維持するなど明暗が分かれている。特に下北方面へ向かう観光客はレンタカーの利用が顕著で、バスはあおりを受けた格好。新幹線効果を最大限に引き出そうと、自治体や民間などが整備した路線バスだったが、2次交通の整備の難しさを浮き彫りにした。[br][br] 同駅では、開業後しばらくは、観光需要が増すのでは―との見立てから、各方面に向けたバスが最大7路線あった。特にむつ市方面は計2便が新設され、下北観光の躍進に期待感が高まった。[br][br] しかし、東日本大震災の影響もあり、開業からわずか11カ月後の2011年11月に、同駅とむつ市を結ぶ路線バスが運行を終了。同区間で予約制シャトル便を運行していた尻屋観光も17年に撤退した。いずれも利用者が採算ラインに満たなかったのが理由だった。 ただ、下北地域の観光旅行などを手掛ける日本版DMO(観光地域づくり推進法人)「しもきたTABIあしすと」によると、一定数の観光客がバスではなくレンタカーを利用しているという。[br][br] 坂井隆事務局長は「当時は期待の空気もあっただろうが、バス移動と下北半島の観光がかみ合いにくい側面はあったのでは」と指摘。ジオパークに象徴されるように、下北半島には観光名所が点在しており、決められた区間を走るバスより、好きな場所に立ち寄りながら移動できるレンタカーの方が観光客のニーズに合っているとの見方もある。[br][br] 一方、十和田市方面への路線バスは、開業当初から現在も運行を続ける。とりわけ十和田湖、奥入瀬渓流を発着地点とするシャトルバスが観光客に人気だ。[br][br] 大型連休や紅葉シーズンを中心に開業翌年から一定の利用客を確保しており、昨年度は延べ約830人、本年度はコロナ禍にもかかわらず約700人が利用した。[br][br] 十和田湖、奥入瀬渓流の周辺は曲がりくねった道路が多く、特に冬は路面凍結の危険もあり、観光客にとって、運転しなくても目的地に着けるバスの利便性が評価されている様子だ。[br][br] 十和田市版DMO十和田奥入瀬観光機構の山本隆一事務局長は「駅からの2次交通はとても重要。県外から来た人がアクセスできるという安心感で、利用状況が変わってくる」と強調。バスやタクシー、レンタカーなどさまざまな交通手段が共存しながら、2次交通を維持していくことの重要性を説く。七戸十和田駅前に整備されたバス停。開業当初に比べ、路線は減少した=1日、七戸町