南八甲田赤沼周辺で無断整備 登山道の木伐採やペンキ跡

南八甲田の松森では、展望所まで樹木に塗られたペンキの印が点々と続く=9日、十和田市
南八甲田の松森では、展望所まで樹木に塗られたペンキの印が点々と続く=9日、十和田市
十和田八幡平国立公園の南八甲田エリアの赤沼周辺で、登山道の木が伐採されるなど無断で整備が行われていたことが18日までに分かった。現場は特別保護地区に準ずる第1種特別地域。目印として木にペンキを塗るなど景観保護を無視した悪質な行為も見られ、地.....
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十和田八幡平国立公園の南八甲田エリアの赤沼周辺で、登山道の木が伐採されるなど無断で整備が行われていたことが18日までに分かった。現場は特別保護地区に準ずる第1種特別地域。目印として木にペンキを塗るなど景観保護を無視した悪質な行為も見られ、地元の自然保護団体は「限度を超えている」と憤りを隠さない。南八甲田では、これまでも無断伐採などが繰り返されており、同団体は一定のルールを定めた上での整備の必要性を指摘する。[br][br] 第1種特別地域は、景観を極力保護する必要があり、木竹の伐採などには許可が必要。現場は仙人橋から赤沼、松森、蔦沼などがある蔦野鳥の森を結ぶ山道で、通称「赤沼・松森コース」と呼ばれる。万人向けに整備された道ではなく、全域が枝葉に覆われ、中級・上級者向けのコースだ。[br][br] 地元の「八甲田・十和田を愛する会」(久末正明代表)が10月中旬、「歩道が許可なく拡張された」という情報を受け、11月中旬にかけて現地調査した。[br][br] 松森は、ブナ林の一角ににある岩の小山で、マツ科のコメツガが群生。岩の側面やコメツガの幹に、付近の展望所へ誘導するように黄色のペンキで印が付けられていた。[br][br] さらに展望所は、元々1人か2人しか立てない程度のスペースだったが、足場を確保するかのように、足元のコメツツジの枝が切り落とされていた。[br][br] このほか全域で木の伐採が複数あり、必要以上の枝払いも目立った。数メートルにわたって緑や紅葉のトンネルになるというポイントでは、上部を形作る枝が刈り取られ、道の付け替えもあった。[br][br] 赤沼では、沼の縁にある道沿いの斜面に手がかり用のロープが付けられていたが、同団体によると、不安定にたわむことから事故の発生が懸念されるという。[br][br] 久末代表は「軽度の刈り払いなら問題視しないが、切る必要のない木に被害が及んでおり、明らかな違反。美観を考えず、独りよがりな整備だ」と訴える。 南八甲田では1998年ごろから無断伐採が問題化しているが、依然、後を絶たない。久末代表は「環境省と林野庁が(無断伐採の)問題を放置してきた結果だ。だからといって、無許可で実力行使に出るのはルール違反だ」と批判し、行政の監督下で一定のルールを設け、最小限の整備にとどめるべきだ―と強調する。[br][br] 環境省十和田八幡平国立公園管理事務所は、第1種特別地域での伐採は、「主たる幹」に当たるかどうかが自然公園法違反の判断基準になるとした上で、「今回は直ちに法律違反とは言えない。マナーやモラルの問題だ」と述べた。[br][br] 一方、久末代表は「サイズが小さくても、生きた木を切るのは明らかに法律違反だ」と主張する。南八甲田の松森では、展望所まで樹木に塗られたペンキの印が点々と続く=9日、十和田市