大畑まつりの歴史、次代へ 神輿渡御300年 記念誌発行/むつ

大畑まつりの歴史をまとめた記念誌をPRする(左から)宮浦宰宮司、中嶋康夫さん、福岡貞吉会長=10月下旬、むつ市の大畑八幡宮社務所
大畑まつりの歴史をまとめた記念誌をPRする(左から)宮浦宰宮司、中嶋康夫さん、福岡貞吉会長=10月下旬、むつ市の大畑八幡宮社務所
むつ市大畑町の「大畑八幡宮渡御三百年奉賛会」(福岡貞吉会長)は、大畑まつり300年の歴史をまとめた記念誌「悠久の時を越えて」を発行した。執筆や編集を担当した同八幡宮の氏子総代で郷土史研究家の中嶋康夫さん(72)は、まつりの歩みを知る人が年々.....
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 むつ市大畑町の「大畑八幡宮渡御三百年奉賛会」(福岡貞吉会長)は、大畑まつり300年の歴史をまとめた記念誌「悠久の時を越えて」を発行した。執筆や編集を担当した同八幡宮の氏子総代で郷土史研究家の中嶋康夫さん(72)は、まつりの歩みを知る人が年々減っていることに触れ、「記録を残すことで歴史を次世代へつなげてほしい」と願いを込める。[br][br] まつりは同八幡宮の例大祭で9月14~16日に開催。神輿(みこし)を中心とした渡御行列は1718(享保3)年に始まったとされる。大畑は当時、ヒバ材や海産物などの積み出し港としてにぎわっており、廻船(かいせん)問屋が資金を負担し合ったのが行列の起源とみられる。[br][br] まつりは時々の社会情勢を色濃く反映してきた。明治の飢饉(ききん)に伴う若者の北海道流出や「廃仏毀釈(きしゃく)」による祭事の変革、昭和のイカ釣り漁発展に伴うまつりの規模拡大など、この300年で地域を変える大きな波が5回あったといい、中嶋さんは「良い時も悪い時も人々をつなげてきたのがまつりだ」と指摘する。[br][br] まつりの神輿には、江戸時代に幕府の御用船として蝦夷(えぞ)地警備に当たった「政徳丸」から奉納された灯籠などが飾られ、受け継がれている。中嶋さんはまつりの魅力について「時代背景が反映されていることが他市町村と異なる面白みだ」と強調。一方、若い人はこうした経緯を知らないとし、「本を通じて興味を持ってもらえたら」と話す。[br][br] 記念誌ではまつりの歩みなどを約400ページにわたって紹介。歴史を知る関係者が減っていることから、過去に聞き取った証言も生かして編集した。同八幡宮の氏子総代長も務める福岡会長(84)は「大畑まつりは幾多の困難をしのぎ、多くの人に支えられてきた地域史でもある。記念誌が八幡宮とまつりに関わる人の心をつなぐ一助になってほしい」と願う。[br][br] 宮浦宰(おさむ)宮司(74)は「人口減少や少子高齢化で、現状のまつりの存続は今までになく厳しい。300年の節目が未来を展望し、持続可能な在り方を住民と考える機会になれば」と話す。[br][br] 記念誌は1冊3500円(税込み)で販売している。問い合わせは中嶋さん=電話090(8258)0790=へ。大畑まつりの歴史をまとめた記念誌をPRする(左から)宮浦宰宮司、中嶋康夫さん、福岡貞吉会長=10月下旬、むつ市の大畑八幡宮社務所