【新型コロナ】繰り返されるネット中傷

新型コロナウイルスの感染者が確認される度に繰り返される誹謗中傷。インターネット上の書き込みもその原因となっており、一層のモラル向上が求められる(写真はイメージ) 
新型コロナウイルスの感染者が確認される度に繰り返される誹謗中傷。インターネット上の書き込みもその原因となっており、一層のモラル向上が求められる(写真はイメージ) 
青森県内で新型コロナウイルスの感染者が確認され7カ月以上が経過したが、依然として感染者の特定や誹謗(ひぼう)中傷が繰り返されている。インターネット上には勤務先や住所につながるような個人情報だけでなく、「自殺して葬式が行われていた」など事実と.....
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 青森県内で新型コロナウイルスの感染者が確認され7カ月以上が経過したが、依然として感染者の特定や誹謗(ひぼう)中傷が繰り返されている。インターネット上には勤務先や住所につながるような個人情報だけでなく、「自殺して葬式が行われていた」など事実とは異なる、度を越えたうわさがさらされる場合も。感染者の自宅や勤務先に電話や手紙で抗議が寄せられ、感染者と無関係の人や企業が攻撃されるケースもある。専門家は「(書き込む際は)その内容で大丈夫か、誰も傷つけないかを確認した方がいい」と注意喚起している。[br][br] 県内に住む村田隆さん(60代、仮名)には、感染直後から電話での抗議が寄せられた。「隠れてないで出て来て謝れ」「名前を世間にさらせ」。さまざまな怒号を浴びせられ、見ず知らずの人から寄せられる声に恐怖を覚えた。[br][br] どうして分かったのかを尋ねると、多くの人が「インターネットに書いていた」と口をそろえた。自身も閲覧してみると、個人情報が書き込まれ、ありもしないことが事実のように並べられていた。[br][br] 他の感染者についても「先日葬儀が行われていた」「自殺したらしい」などの辛辣(しんらつ)な言葉が羅列されていたが、確認してみると、全てがうそであることが分かった。[br][br] 村田さんは言う。「自分に置き換えてみてほしい。自分だって感染しないという保証はないはずだ。その時このようなことをされたら果たしてどう思うのか」[br][br] ネット上での誹謗中傷は、感染者以外に及ぶケースもある。県南地方に住む松田遼一さん(40代、仮名)はトイレットペーパー不足が叫ばれていた今春、ツイッターで十分に在庫があることを呼び掛けていた。報道を見た上での書き込みだったが、「根拠は何だ」「誰もお前のことなんて信じない」と激しい叱責しっせきを受けた。[br][br] 応戦したが、収まる気配がないためしばらく放置しておくと、本名や職業と共に「危険人物」と投稿されていた。松田さんは「情報ツールとして利用していたが、怖くなりアカウントを削除した。それ以来利用していない」という。[br][br] 八戸学院大の馬場祥次准教授(情報学)によると、正体の分からないウイルスへの恐れや自己防衛が根本にあるといい、「夜中に1人でインターネットに向き合うと、言葉が暴力的、攻撃的となる傾向にある。自粛によるストレスが誹謗中傷という形で出てしまった」と分析。根絶に向け、インターネット利用における啓蒙けいもう活動の必要性を訴えている。新型コロナウイルスの感染者が確認される度に繰り返される誹謗中傷。インターネット上の書き込みもその原因となっており、一層のモラル向上が求められる(写真はイメージ)