【超高齢社会の先へ】第4部 社会からの孤立(3)

弁当などの配達をしながら、地域の見守り活動を行うコープあおもりの担当職員(左)。利用者からの感謝の言葉が励みとなっている=八戸市内(提供写真) 
弁当などの配達をしながら、地域の見守り活動を行うコープあおもりの担当職員(左)。利用者からの感謝の言葉が励みとなっている=八戸市内(提供写真) 
高齢者の単身世帯の増加に伴い、地域内での見守りがますます重要となっている中、新聞配達や配食サービスの配達員が異変に気付き、救急搬送や行政サービスなど必要な支援に結びつける事例が増えている。普段の業務の延長線上で見守り活動をするため、従業員の.....
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 高齢者の単身世帯の増加に伴い、地域内での見守りがますます重要となっている中、新聞配達や配食サービスの配達員が異変に気付き、救急搬送や行政サービスなど必要な支援に結びつける事例が増えている。普段の業務の延長線上で見守り活動をするため、従業員の負担が少なく、単身世帯の高齢者にとっては安心が得られるというメリットがある。超高齢社会を迎えた今、事業所が主体となった見守り活動の重要性がますます高まってきている。 [br][br]  ◇   ◇[br] 八戸市では2014年から、市内の事業所と連携して地域の見守り活動を行う「地域の安心・安全見守り事業」を展開している。宅配業者や新聞販売店、配食サービス業者らと市が協定を締結。業務中に高齢者世帯や地域の異変に気付いた際に通報を受ける仕組みで、通報件数は17年度が34件、18年度が40件、19年度が45件と年々増加している。[br][br] 市高齢福祉課によると、「新聞がたまっている」「前日に配達した弁当が残っている」といった異変から通報に至るケースが多く、市は「協力事業者のおかげで救急搬送や死亡後も早期発見に至るケースも多い。効果的な見守りができている」との認識を示す。[br][br]   ◇    ◇[br] 青森県内で配食サービスや共同購入事業などを展開する「生活協同組合コープあおもり」は、県や県内全40市町村と高齢者らの見守りに関する協定を締結し、弁当や共同購入した商品の配達と併せて利用者の安否確認を行っている。[br][br] 同生協が19年度に県内の各市町村に通報した件数は計75件で、そのうち70代以上が68%を占める。入院や施設入所、旅行中などで無事を確認できた事例がほとんどだが、中には一命を取り留めた事例や死亡の発見に至ったケースもある。[br][br] ▽配達した弁当が翌日になっても残っているのを不審に感じ、家の中に届ける際に排せつ物の臭いがしたため、配達員が異常を察知し救急搬送につなげた▽高齢者の自宅に弁当を届けたものの応答が無く、玄関そばの居間で動けない状態でいるのを発見した―などの事例がある。いずれも「普段とは何かが違う」という担当職員の直感が発見の決め手となり、素早い対応につながっている。[br][br] 八戸市や三戸郡などで事業を展開するコープあおもり八戸センターによると、配達担当者は毎回同じ地区を受け持つため、ささいな異常にも気付きやすいのが大きな特徴だという。同センターの配食担当者は「毎日配達をしている担当者だからこそ、臭いや空気感がいつもと違うことに気付ける」と実感を込める。[br][br] ただ、あらゆる状況に遭遇するため、動揺でうまく対応できなかったり、現場検証に立ち会う必要があったりと、精神的な負担も少なくない。一方で、「見守りをしてくれるから安心」といった声や、死亡した状態で見つかった時も利用者の家族から「早く見つけてくれてありがとう」など感謝の声が職員の励みとなっている。[br][br] 同センターの担当者は「職員が安心して業務ができるように、今後も職員同士で事例を共有しながら見守り活動を続けていきたい」と思いを強くしている。弁当などの配達をしながら、地域の見守り活動を行うコープあおもりの担当職員(左)。利用者からの感謝の言葉が励みとなっている=八戸市内(提供写真)