【情報滞留行政】有識者インタビュー 青森中央学院大・山谷清秀講師

情報公開の在り方について解説する山谷清秀講師=1日、青森市
情報公開の在り方について解説する山谷清秀講師=1日、青森市
八戸市第3魚市場荷さばき施設A棟の問題で、市民への情報公表の遅れが目立つ八戸市。今回、本紙の情報公開請求によって、市民への公表遅れを招きかねない内部文書の存在も明らかとなった。市の姿勢は適切なのか。行政の情報公開の在り方について詳しい、青森.....
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 八戸市第3魚市場荷さばき施設A棟の問題で、市民への情報公表の遅れが目立つ八戸市。今回、本紙の情報公開請求によって、市民への公表遅れを招きかねない内部文書の存在も明らかとなった。市の姿勢は適切なのか。行政の情報公開の在り方について詳しい、青森中央学院大の山谷清秀講師(30)=行政学、地方自治論=に聞いた。[br][br] ―八戸市は市議会での審議が終わるまでA棟の収支に関する取材対応を拒んだ。小林眞市長は地方自治法と憲法を理由に対応の正当性を主張している。[br][br] (決算の細部の)情報を出しても困る訳ではないし、出したからと言って合法でない訳でもない。説明をしなかったことについて「妥当性」の話を「合法性」の話に移している。「法律にのっとっている」と言っているだけで、なぜ出せないのか―という問いに説明責任を果たしていないと言える。[br][br] 仮に、二元代表制のため、議会の説明が優先というのであれば、市長も市民の代表で、市民に対する説明責任を負う。なぜ議会に説明してからでなければならないのかを市民が納得するよう説明しなければならない。議会に責任を転嫁した言い訳のような部分があるのではないか。[br][br] ―適切な情報公開のあり方は。[br][br] 本来、行政が持つ情報は、究極で言えば市民のもので、基本的には出さなければならない。だが、プライバシーや個人情報に関わる内容であったり、議論のさなかで、その時点で情報を出すことにより、不都合が生じるなどものだったり―と、言えない部分があるのも事実だ。[br][br] 一方、市民の中で議論が生まれるような情報は積極的に出すべきではないかという議論もある。事後的に「これはこうなりました」というだけでは市民の中で議論は生まれない。それは典型的な戦前のモデルだ。[br][br] 情報を途中経過の段階でも出し、市民もそれについて考える。課題があるなら市民も一緒に解決策を考えるような広報をできないのか―という話も20~30年言われている。[br][br] ―行政の説明責任をどう考えるか。[br][br] 「アカウンタビリティー」という概念がある。日本語訳では「説明責任」だ。その概念で説明責任には、単に説明する責任というだけではなく▽説明して納得してもらう責任▽説明することができる能力▽結果に対する責任―も含まれる。[br][br] 議会と協議し、変更しなければならない部分があるため、議会に報告して決定後、情報を出すというのは、議員が市民の代表であるため、その点は間違ってはいない。[br][br] しかし、情報公開で言えば、いつ、どのタイミングで、どんな情報を出すのかを説明するのが行政のアカウンタビリティーだ。[br][br] 仮に、議会に説明する前の説明を控える―というのであれば、なぜ議会の報告後でなければならないのかを、行政は市民が納得する形で説明しなければならない。[br][br] 行政の都合はあるだろうが、市民はそれを知り得ない。行政という専門家集団が持つ知識と、一般市民が持つ知識の差を埋めるような説明も必要だ。情報公開の在り方について解説する山谷清秀講師=1日、青森市