早期の衆院解散・総選挙が取り沙汰される中、青森県内の野党共闘の行方が混迷を深めている。24日、共産党県委員会が青森2区の公認候補の擁立を発表したことで、野党候補の空白地が埋まり、県内3選挙区で与野党が対決する構図が固まった。だが、既に1区では立憲民主党と共産が競合し、2区も立民が独自候補の擁立を模索。現有議席を独占する自民党の牙城を崩すには、野党間の候補者調整は不可欠だが、その道筋は見通せないのが現状だ。[br] 県内の野党勢力は、強固な組織票を持つ自民に対抗するため、共闘を進めてきた。昨年の参院選で統一候補を擁立し、一定の協力関係を構築。その後も合同で街頭活動などを展開し、連携を深化させた。[br] ただ、衆院選の共闘を巡っては、各党の思惑が交錯する。[br] 共産は比例東北の議席死守が至上命令。比例票の上積みにつなげるため、1、2区での候補者擁立に踏み切った。一方、立民はあくまでも小選挙区での議席獲得を目指し、非自民票の結集を図りたい考えだ。[br] 共産県委員会の畑中孝之委員長は「共産の躍進なくして、共闘の勝利はない。1、2区は独自候補で戦うというのが方針だ」と強調。共闘の可能性については「これまで県内で積み上げてきたものを発展させ、共闘したい思いはある」と含みを持たせる。[br] 今月発足したばかりの立民は、26日に県連設立準備会を開催する見通し。1、3区は候補予定者が決まっているが、2区は人選が難航している。 ただ、八戸市を含む2区は旧国民民主党から立民に合流した田名部匡代参院議員のお膝元。立民は勢力の拡大に向け、独自候補を擁立したいところだ。[br] ある旧国民幹部は1区で野党候補が競合している現状を踏まえ、「2区は共産に任せる選択肢もある」と持論を展開。田名部参院議員が2022年夏に改選期を迎えるのを見据え、「独自候補を擁立できないのであれば、共産候補を応援するのは将来的にプラスになるはずだ」と“恩返し”に期待する。[br] 今後、共産は立民の県連組織の発足後、社民党を含めた野党3党で、次期衆院選の連携に向けた協議を実施したい考え。野党関係者は「国政選挙は県組織だけでなく、党本部間の合意が大前提。それがなければ共闘は前に進まない」と厳しい表情を浮かべた。