【世界のJOMONへ】第4部 見えてきた登録(3)遺跡のばらつき

世界遺産登録には遺跡の整備計画を丁寧に説明することが不可欠だ(写真はコラージュ。上から時計回りに是川石器時代遺跡、二ツ森貝塚、三内丸山遺跡)
世界遺産登録には遺跡の整備計画を丁寧に説明することが不可欠だ(写真はコラージュ。上から時計回りに是川石器時代遺跡、二ツ森貝塚、三内丸山遺跡)
青森、岩手、秋田、北海道の4道県が登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」。登録に向けた取り組みは、4道県と14市町で組織する推進本部が進めているが、各遺跡の管理や整備などは遺跡を所有する各自治体が担っている。青森県内では、県有地に.....
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 青森、岩手、秋田、北海道の4道県が登録を目指している「北海道・北東北の縄文遺跡群」。登録に向けた取り組みは、4道県と14市町で組織する推進本部が進めているが、各遺跡の管理や整備などは遺跡を所有する各自治体が担っている。青森県内では、県有地にある青森市の三内丸山遺跡は県が管轄し、八戸市の是川石器時代遺跡など7遺跡と関連1遺跡は各市町が管理している。一方、管理主体が異なることから、遺跡の整備状況や展示施設にばらつきがあるのが現状。世界遺産登録にはマイナスポイントになってしまうのか―。 [br] 遺跡を管理する県や各市町は、現在、全ての遺跡で整備計画を作り、資料館や復元スペースを整備している。三内丸山遺跡は19年4月、縄文時遊館に増築した新展示収蔵施設と遺跡を教育機関「三内丸山遺跡センター」として新たにオープンさせた。従来は県立美術館と県立郷土館に分けて収蔵されていた遺物約1500点がまとめて保管できるようになるなど、遺跡をより理解しやすい仕組みに。登録後を見据えて施設を有料化するなど、来場者の受け入れ態勢が着々と進んでいる。[br] 一方、是川石器時代遺跡は出土品を展示し、土偶作りなどを体験できる機能が是川縄文館に集約されている。ただ、実際に遺物が出土した一王寺、中居両遺跡は市の整備基本計画の下、復元を進めている最中。26年度までに豊かな森と小川が流れる「縄文の里」として整備する予定だが、完成にはかなりの時間を要する。[br] しかし、専門家によると遺跡の整備の遅れが、直ちに登録のマイナスになるということではないという。文化庁文化資源活用課の鈴木地平文化財調査官は「きれいに整備されていない遺跡は駄目というわけではない。整備済み、整備中、今後着手という段階の違いでしかない」と指摘する。[br] 実際に、2019年に世界文化遺産に登録された「百舌鳥・古市古墳群」(大阪府)はそれぞれの古墳によって整備状況に違いがあったといい、「イコモスの調査員に丁寧に整備計画を説明することが重要なポイントだった」と振り返る。[br] 来春には、構成資産の一つである七戸町の二ツ森貝塚の展示施設「二ツ森貝塚館」が開館する予定。これまでは遺跡から7キロも離れた町立中央公民館に展示室を設けていたが、新施設は遺跡から約800メートルの旧天間東小校舎を活用。職員室だった場所を常設展示室にするなど、具体的な整備が進んでいる。[br] 町教委世界遺産対策室の甲田美喜雄室長は「中央公民館では出土品を棚にただ並べているだけだったが、二ツ森貝塚館ではどんな遺跡なのか、縄文人がどんな暮らしをしていたのかを理解できるように工夫する予定」と説明。「17遺跡という全体があって個々の遺跡がある。二ツ森貝塚も登録を前提として遺跡の管理・運営に努めていきたい」と強調する。世界遺産登録には遺跡の整備計画を丁寧に説明することが不可欠だ(写真はコラージュ。上から時計回りに是川石器時代遺跡、二ツ森貝塚、三内丸山遺跡)