八戸に希望与えたい- コロナ禍でも諦めず居酒屋開店

コロナ禍にめげず、居酒屋をオープンする上野衛さん=2日、八戸市
コロナ禍にめげず、居酒屋をオープンする上野衛さん=2日、八戸市
新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立つ飲食業界。出口の見えない状況が続く中、八戸市中心街に新たな居酒屋が10日、オープンする。地場食材を使った料理を売りにする「八戸酒場ぎんが」。代表を務める上野衛(まもる)さん(35)にとっては、料理人を.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大で苦境に立つ飲食業界。出口の見えない状況が続く中、八戸市中心街に新たな居酒屋が10日、オープンする。地場食材を使った料理を売りにする「八戸酒場ぎんが」。代表を務める上野衛(まもる)さん(35)にとっては、料理人を志した時からの目標だった念願の自身の店だ。コロナ禍で街中から次々と店の明かりが消えていくのを目の当たりにし、挑もうとする道の険しさを実感した。それでも諦めるわけにはいかなかった。「八戸に希望を与える店にしたい」。熱い思いを胸に一歩を踏み出す。[br] 同市出身で高校卒業後、盛岡市の調理学校を経て、東京や仙台市、八戸市など各地で腕を磨いた。修業先では地元食材にこだわった料理を学び、自身の店のイメージを膨らませた。[br] 今年1月、店の場所を決め、本格的な準備を開始。そのさなかに新型コロナの感染が拡大し、北東北有数の歓楽街にも暗い影が及んだ。客足は見る見る減っていき、恐怖すら覚えた。[br] 夢の実現か、断念か―。家族や友人からは心配され、ほかの仕事を勧められたこともあった。迷いを晴らしたのは父親の一言だった。「料理人なんだから、料理をやりなさい」。初心に返り、覚悟を決めた。[br] 気持ちを切り替え準備に臨むと、新たな発想が生まれた。自家製の野菜を提供するため農業に挑戦。農家の親せきや知人の協力を得ながら、無農薬にこだわった野菜を栽培した。来店者が笑顔で食事をする光景を思い浮かべ、改めて食材と向き合った。[br] 生産者との絆も一層意識するようになった。「自分には料理しかない。仕入れは地元業者に限定することで、地域と共に困難に立ち向かっていく」。青森県や岩手県の地場食材を使うことは当初から決めていたが、コロナ禍が地域への思いをさらに強くさせた。[br] 店はさまざまな飲食店が立ち並ぶ、同市長横町の入り口に構える。店名を記した少し大きめのちょうちんが目印だ。「八戸を少しでも元気付け、人の心を明るく照らす光にしていきたい」。夢を追う姿に、もはや不安はない。 コロナ禍にめげず、居酒屋をオープンする上野衛さん=2日、八戸市