弘前市在住の北武さん(77)と八嶋辰美さん(53)が18日、大間町から函館市までカヤックによる津軽海峡縦断に挑戦した。これまで3回成功している北さんは途中でリタイアとなったが、八嶋さんは約5時間かけて縦断に成功した。八嶋さんは「無我夢中でこいだ。当分カヤックはこがなくてもいいくらい疲れた」と苦笑いした。[br] 2人は4年ほど前、弘前B&G海洋センターのカヌー教室で知り合ってからの付き合い。北さんが、喜寿を記念した津軽海峡縦断を企画していることを知った八嶋さんが「一緒にやりたい」と同行した。[br] 北さんによると、2年前の2018年にも縦断に成功しているが、この日の海況は過去3回と比べて最悪。波が高かったほか、大潮の初日でもあり、全国屈指ともいわれる潮の流れがさらに速い状態だった。[br] 2人は午前8時、ゴールの汐首(しおくび)岬を目指して大間崎を出発。直線距離だと18キロほどだが、潮で東にどんどん流される展開になった。北さんは函館市の戸井漁港沖4キロほどで波を受けて転覆し、無念のリタイア。艇体が川下りのスラローム競技用のリバーカヤックだったことも影響したという。[br] 八嶋さんは、北さんがリタイアした時点で一緒にやめようと考えたが、北さんの「行ける所まで頑張れ」という激励を受け、挑戦を続けることに。艇体は、より安定性や直進性のあるシーカヤックだったことも幸いし、当初予定していた汐首岬にはゴールできなかったものの、午後1時15分、東に約18キロほど離れた大澗(おおま)漁港に到着した。[br] 八嶋さんにとって、北さんはカヤックを始めた頃から背中を追い掛けてきた存在。こうした縦断や横断のチャレンジ成功は初めてで、「北さんの言葉で達成できた」と感謝した。この日こいだ距離は30キロ以上になるという。[br] 北さんは「新型コロナの暗い話題だらけの中、77歳の自分の挑戦成功で明るい話題を提供したかった」とリタイアに悔しさをにじませた。ただ、気力はうせておらず、「今度はシーカヤックで再挑戦したい」と意気込んでいた。