国連が掲げる2030年までに達成すべき持続可能な開発目標「SDGs」。貧困や気候変動など17の目標を設定し、世界全体で解決に向けた取り組みを進め、企業の社会貢献活動としても注目を集める。地方経済を調査研究する「あおもり創生パートナーズ」(青森市、ACP)によると、県内企業の認知度は4割近くある一方で、取り組む企業は1割未満と、機運は高まっていない現状が明らかになった。ACPの担当者は「目標が大きく複雑なため、経営上の利点を感じにくいのではないか」と分析する。[br] 調査は4月、県内企業319社にアンケートを行い、64・6%に当たる206社が回答した。[br] SDGsの認知度について「知っている」は38・3%で、「聞いたことはあるが、内容は知らない」は27・2%。「全く知らない」は34・5%に上った。[br] 「知っている」とした企業に取り組み状況を聞くと、「既に取り組んでいる」は5・8%にとどまる。「取り組みを検討している」は8・7%、「内容は知っているが、対応していない」は23・8%だった。[br] 業種別の状況では、小売業が8・0%と最も高く、卸売業6・5%、製造業6・3%と続いた。小売業では事業内容と家計消費との関連性が高く、貧困や飢餓、健康などの分野に関心が大きかったという。[br] 取り組む上での課題(複数回答)では「社内での認知度が低い」が最多の45・1%。「社会的認知度が高まっていない」と「何から取り組んでいいか分からない」がともに29・1%、「メリットが分からない」が27・2%で多かった。[br] 調査を担当したACP地域デザイン部の工藤浩栄マネージャーは、SDGsの取り組みは株主や投資家、就職や転職の判断材料となる重要な指標と指摘。「課題解決に向けた事業は将来の伸びしろがあり、企業にとって必ずプラスになる」と必要性を強調した。[br][br][br] 【SDGs】「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略語。2030年までに達成を目指す17のゴールと169のターゲットから構成する。17のゴールは「貧困をなくす」「飢餓をゼロに」「全ての人に健康と福祉を」「ジェンダー平等の実現」「質の高い教育をみんなに」など。官民で活動が広がりつつあり、取り組んでいる団体は、17のゴールを表した17色の円上のバッジを付けている。