【超高齢社会の先へ】第3部 介護の未来(4)

「信頼される介護士になりたい」と、仲間と共に実習や勉強に励む中嶋楓香さん(奥)=7月上旬、弘前市
「信頼される介護士になりたい」と、仲間と共に実習や勉強に励む中嶋楓香さん(奥)=7月上旬、弘前市
深刻な人手不足が懸念される介護現場では人材育成が喫緊の課題だ。日本介護福祉士養成施設協会(東京)の調査によると、介護福祉士を養成する大学や専門学校への入学者は年々減り、2018年の調査ではピーク時だった06年の約3分の1にまで減少。全国的に.....
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 深刻な人手不足が懸念される介護現場では人材育成が喫緊の課題だ。日本介護福祉士養成施設協会(東京)の調査によると、介護福祉士を養成する大学や専門学校への入学者は年々減り、2018年の調査ではピーク時だった06年の約3分の1にまで減少。全国的にも学校、学科の閉鎖や募集停止が相次ぎ、介護職を将来の職業として考える若者が少ない現状が浮き彫りとなっている。厳しい現状が続く一方、介護のプロフェッショナルを目指し、日々勉強に励む学生たちがいる。[br]   ◇    ◇[br] 「大変な仕事だけど、一番やりがいを感じられる仕事だと思っている」。弘前医療福祉大短期大学部介護福祉学科で学ぶ2年の中嶋楓香さん(19)の介護職への思いは強い。[br] 中学生の時に職場体験で介護職に触れる機会があった。介護士に教えてもらいながら簡単なケアに挑戦してみたところ、利用者から「ありがとう」と笑顔で言われたことに喜びを感じたことがこの業界に飛び込むきっかけになった。[br] 同大に入学後は、介護技術や医学的なケア、介護制度などを学ぶ講義に加え、介護施設での数週間に及ぶ実習に取り組んできた。[br] 今年6月に県内の介護施設で行った実習では、食事介助やおむつ交換、入浴前後の着脱介助などを実践的に学んだ。「実習だからこそ身に付くことも多い」と中嶋さん。介護士の仕事を間近で見て経験することで、将来のイメージがより具体的になったという。[br] 秋ごろには再び4週間程度の実習が予定されているほか、来年1月には介護福祉士国家試験も控える。忙しい毎日を送りつつも、「同じ介護の道を目指している仲間と励まし合いながら一緒に頑張れている」と充実感をにじませる。[br] 卒業後は県内の特別養護老人ホームへの就職が決まっている。「利用者やその家族、一緒に働く仲間との信頼関係を大切にして、誰からも信頼される介護士になりたい」。理想の介護士を思い描く表情は希望に満ちている。[br]   ◇    ◇[br] 同学科は1988年に東北地方初の介護福祉士養成施設として開設。これまでに1800人以上の介護士を育成してきた。同大の担当者は「介護学生は実習などを通して実践的な介護を学ぶため、即戦力になりえる」と強調。技術や知識だけでなく、介護職に対する理解や心構えもできていることから、就職後の定着率も高いという。[br] しかし、入学者は年々減少する厳しい状況が続いている上に、県外への人材流出が目下の懸案事項だ。[br] 同大では2017年度に県内の福祉施設と協定を結び、福祉施設が学費の一部を支援する「給付型奨学金制度」を導入。介護学生は支援をしてもらった施設に3年間就業することで返済が免除される制度で、同大の担当者は「経済的な負担を心配することなく勉強に励むことができる」と利点を挙げる。地域に根ざした優秀な介護人材の育成には、養成施設や福祉施設の連携強化も鍵となりそうだ。「信頼される介護士になりたい」と、仲間と共に実習や勉強に励む中嶋楓香さん(奥)=7月上旬、弘前市