青森地方最低賃金審議会(会長・石岡隆司弁護士)は7日、青森県内の最低賃金を3円(0・38%)引き上げ、793円とするよう青森労働局に答申した。17年連続の引き上げとなったが、新型コロナウイルスの感染拡大による経済情勢の悪化で、引き上げ幅は東日本大震災後の2011年度の2円(0・31%)以来の低水準に落ち込んだ。同労働局は24日まで異議申し立てを受け付け、早ければ10月3日に適用される。[br] 最低賃金は厚生労働省の中央最低賃金審議会の答申を受け、各都道府県で決定。本年度はリーマン・ショック以来、11年ぶりに中央審議会が引き上げ額の目安を示さなかった。青森地方審議会は中央審議会の答申を受け、非公開の専門部会を3回開催し議論した。[br] 委員によると、労働者側は「早期に最低800円を目指す」とした10年の政労使間の合意実現に向け、10円アップを要求。使用者側は業績悪化を理由に据え置きを主張した。その後、労働者側が5円増、使用者側が1円増を提示したが、溝は埋まらず、公益側が提案した3円増を青森地方審議会に諮ることとした。[br] 7日の審議会では、石岡会長を除く14人で採決が行われ、使用者側の5人が全員反対。労働者側5人と公益側4人が賛成し、3円増の答申が決まった。[br] 答申後、石岡会長は「労使共に厳しい状況だが、非正規労働者らが将来に希望が持てるように引き上げが必要。地域格差の縮小に向け、最終的には3円アップになった」と説明した。[br] 連合青森の塩谷進会長は「地域格差の解消には不十分だが、2円増にとどまる県もある中で、3円アップは評価できる」と理解を示した。一方、県経営者協会の七尾嘉信会長は「中小事業者は雇用や事業維持に懸命に取り組んでいる。厳しい状況が、金額審議に反映されず大変遺憾」とコメントした。