【連載・八戸三社大祭「伝統の原点へ」】インタビュー編(5)完「神事としての価値に光を/継承には“変化”も重要」運営委員会・塚原隆市会長(66)

「今後の三社大祭の在り方を多角的に検討していきたい」と語る塚原隆市会長=八戸市
「今後の三社大祭の在り方を多角的に検討していきたい」と語る塚原隆市会長=八戸市
発祥300年の節目を迎える八戸三社大祭は、新型コロナウイルス感染症の影響で規模が縮小する一方、祭りの本源である神社の祭礼行事は今年も行われる。八戸三社大祭運営委員会の会長を務める塚原隆市さん(66)=VISITはちのへ理事長=は「伝統が続い.....
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 発祥300年の節目を迎える八戸三社大祭は、新型コロナウイルス感染症の影響で規模が縮小する一方、祭りの本源である神社の祭礼行事は今年も行われる。八戸三社大祭運営委員会の会長を務める塚原隆市さん(66)=VISITはちのへ理事長=は「伝統が続いていく意義は大きい」と強調。三社大祭を「神事」「伝統」「観光」の三つの視点から捉え、将来の祭りの在り方を多角的に検討する考えを示す。[br][br] ―感染防止のため三社大 祭の規模を縮小した。[br][br] 新型コロナの影響で青森ねぶた祭などの中止が決まったが、神事である三社大祭は、当初から祭礼行事が中止になる選択肢はなかった。神社行列と山車の合同運行をどうするかが問題で、やはり感染防止の観点から開催は難しかった。[br] ただ、300年続く三社大祭を神社の祭礼行事と考えた時に、規模縮小を残念に思うだけでなく、神事としての伝統が続いていく意義の大きさを市民の皆さんと一緒に受け止めたい。[br][br] ―三社大祭は地域との関 わりが深い。[br][br] 子どもから大人まで関わる祭りで、地域コミュニティーとしての役割もある。1年に一度、各町内の人が集まり、山車作りやお囃子(はやし)の練習を通して地元愛を育んでいる。市民が担い手となり、毎年祭りを作り上げていくのも大きな魅力だ。[br][br] ―今後の三社大祭と観光の関係をどう考える。[br][br] 祭礼の保存、継承を前提に、祭りを観光振興に生かしていきたい。三社大祭は現代まで続く神事としての価値が高く、そこに改めてスポットを当てることで、神社を目的に八戸を訪れる人が増えるのではないか。[br] VISITはちのへがインバウンド(訪日外国人客)のターゲットにする英国とフランスの旅行者は、地域の歴史や文化への関心が高い。神事の意味を伝えることが誘客にもつながる。[br] 一方、より大きな観点で見ると、三社大祭だけで国内外に八戸を発信するのは難しい。観光コンテンツの一つとして祭りを生かし、種差海岸や朝市文化などほかの観光資源と連動させ、八戸への滞在、宿泊が増える仕組みを作りたい。[br][br] ―三社大祭の在り方は。[br][br] 祭りの運営面は多角的に考えることが必要で、観覧客の視点も大事だ。神社行列と山車の合同運行は、いわゆる「見る観光」としては時間が長いように思う。さまざまな視点から課題を洗い出し、今後の祭りの在り方や運営を検討したい。[br] 運営委としては、三社大祭を保存、継承していくことが最も重要になる。それには適切な“変化”も欠かせない。次世代を担う山車組の若い人たちの意見を聞きながら、三社大祭に関する議論を進めていきたい。「今後の三社大祭の在り方を多角的に検討していきたい」と語る塚原隆市会長=八戸市