【新型コロナ】八戸北高校吹奏楽部が特別演奏会/コンクール中止など乗り越え

定期演奏会やコンクールが中止となり、これまでのうっぷんを晴らすような演奏やパフォーマンスを披露する青森県立八戸北高吹奏楽部の生徒たち=24日、八戸市
定期演奏会やコンクールが中止となり、これまでのうっぷんを晴らすような演奏やパフォーマンスを披露する青森県立八戸北高吹奏楽部の生徒たち=24日、八戸市
八戸市南郷文化ホールでは24日、青森県立八戸北高吹奏楽部の部員たちが大きな拍手に包まれていた。さまざまな楽器で編成し、客前で演奏を披露する吹奏楽にとって、3密回避を求められる新型コロナウイルスの影響は大きかった。新入生を迎えた春以降は、コン.....
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 八戸市南郷文化ホールでは24日、青森県立八戸北高吹奏楽部の部員たちが大きな拍手に包まれていた。さまざまな楽器で編成し、客前で演奏を披露する吹奏楽にとって、3密回避を求められる新型コロナウイルスの影響は大きかった。新入生を迎えた春以降は、コンクールをはじめとする表現の機会をほぼ失っていた。「今のメンバーにしか奏でられない音がある」。来場を保護者のみに限定し、ようやくたどり着いた今年最初で最後の舞台では、部員たちが思いを重ね、“喜びの音色”を響かせた。[br] 毎春開催する同部の定期演奏会には多くの市民が訪れ、例年3月は準備の真っただ中となる。だが、今年は新型コロナの影響で学校が臨時休校となり、部活動も一時休止に追い込まれた。公演実施の願いは、かなわなかった。[br] 5月には全日本吹奏楽コンクールの開催が見送られた。16年ぶりに出場した昨年の東北大会で銀賞を受賞し、今年はさらに高みを目指していた。演奏会との「2大イベント」がなくなったことは、3年生にとって事実上の引退通告でもあった。副部長を務める3年の速応唯花さん(18)は「何が起きたのか理解できず、ぼうぜんとした」と振り返る。[br] 代替の舞台作りに奔走したのが顧問の高谷浩子教諭。保護者のみを招くこととするなどして、関係者の理解を得た。今年はないと思われたステージ。演奏ができることを知った部員たちの瞳にあふれた涙が喜びの大きさを物語った。[br] 新たな目標ができ、6月に入ると練習も本格化。部員79人の大所帯のため、学年別に休部日を設けるなど3密回避を徹底しながら、気持ちを一つにした。[br] 迎えた本番。ブラックライトを使った音楽劇や小編成のアンサンブルを披露した後、部員全員参加のポップスステージへ。部員たちは一曲ごとに近づく終演の時を感じ、時折涙を流しながらも、同部に30年以上にわたって受け継がれる楽曲「マンボ No.8」や民謡メドレーを、振り付けを交えて堂々と演奏した。会場を包む拍手に、すがすがしい表情で応えた。[br] 今回の特別な演奏会は、今年の定期演奏会が49回目だったことにちなみ、「48と2分の1」回目にカウント。同部にとって忘れられない思い出の1ページが刻まれた。副部長で3年の宇部桃果さん(18)と上端美菜さん(17)は「今までと違う形にはなったが、やれてよかった。とにかく楽しかった」と声をそろえ、後輩たちに夢の続きを託した。[br] 当たり前だった日常の尊さを知った今年の夏。部長の古川戸菜美さん(17)は万感の思いを込めた。「失った時間は二度と戻らないけど、この3年間はとても幸せな時間だった」定期演奏会やコンクールが中止となり、これまでのうっぷんを晴らすような演奏やパフォーマンスを披露する青森県立八戸北高吹奏楽部の生徒たち=24日、八戸市