【連載・八戸三社大祭「伝統の原点へ」】インタビュー編(3)「山車組の活動、次世代に」はちのへ山車振興会 小笠原修会長(61)

「三社大祭の伝統や文化を次世代に継承したい」と語る小笠原修さん=15日、八戸市
「三社大祭の伝統や文化を次世代に継承したい」と語る小笠原修さん=15日、八戸市
今年の八戸三社大祭は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、八戸市中心街を練り歩く神社行列や山車の運行、展示が取りやめになる。全27山車組で組織する「はちのへ山車振興会」の会長を務める小笠原修さん(61)=八戸三社大祭山車祭り行事保存会長.....
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 今年の八戸三社大祭は新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、八戸市中心街を練り歩く神社行列や山車の運行、展示が取りやめになる。全27山車組で組織する「はちのへ山車振興会」の会長を務める小笠原修さん(61)=八戸三社大祭山車祭り行事保存会長=は、断腸の思いで山車組の参加見送りを決断した。一方、山車組の活動には地域コミュニティーを形成する役割があるとし、祭り文化を発信しながら次世代に引き継ぐ決意を強くする。(聞き手・松原一茂)[br] ―山車の運行、展示が見送りとなった。[br] 断腸の思いだったが、山車振興会として山車組の参加を見送った。山車の制作期間は長く、子どもたちもお囃子(はやし)を練習する必要がある。安全確保が難しく、祭りから感染者を出すわけにはいかないと判断した。[br] ただ、三社大祭は300年続く神事だ。新型コロナで全国の祭りやイベントは中止に追い込まれたが、三社大祭は最も重要な神社の祭礼行事が今年も行われることを忘れてはならない。[br] ―山車組の役目は。[br] 山車組は神社の氏子で、あくまで附祭。今年は祭礼行事を手伝い、祭りの雰囲気だけでも味わってもらえるような取り組みを企画した。祭り文化を次世代につなぐことを大事にしたい。[br] 「八戸三社大祭の山車行事」は、2004年に国の重要無形民俗文化財に指定され、16年には全国33の「山・鉾(ほこ)・屋台行事」の一つとしてユネスコ(国連教育科学文化機関)無形文化遺産にも登録された。[br] 名実ともに世界に誇る三社大祭となったのは、祭礼や祭り文化が世代を超えて地域社会で受け継がれてきたことが大きい。山車組の活動は、まちづくりの土台であり、希薄化が叫ばれる地域コミュニティーを強く結び付ける存在でもある。[br] ―今年の三社大祭の意義をどう考える。[br] 三社大祭の発祥300年目という記念の年だっただけに、規模縮小は本当に残念。だが、これを契機に祭礼の意義を再認識し、伝統を守りながら次世代に伝えていく思いを強くした。[br] 近年は担い手不足や山車小屋の確保など、三社大祭が抱える課題は多い。将来にわたって伝統を守るためには、祭りが地域の人々に愛され、保存・継承を大前提に観光資源としても活用されることが重要だ。[br] ―来年の三社大祭に向けて。[br] 今年はまちの安寧(あんねい)、市民の幸せ、一日も早い感染終息を祈り、来年はみんなが笑顔で祭りを楽しめるようになることを願う。300年にわたって市民が守り、継承してきた祭りが新たなステージを迎え、次の100年に向けた第一歩を踏み出すことを期待したい。「三社大祭の伝統や文化を次世代に継承したい」と語る小笠原修さん=15日、八戸市