【連載・東京五輪「リスタート」】(3)古川高晴(アーチェリー個人)

近畿大アーチェリー部の練習場で鍛錬に励む古川高晴=6月中旬、奈良県生駒市(近畿大提供) 
近畿大アーチェリー部の練習場で鍛錬に励む古川高晴=6月中旬、奈良県生駒市(近畿大提供) 
「日々成長すること、後退しないこと」。ロンドン五輪アーチェリー個人銀メダリストで、5大会連続出場の期待が掛かるベテラン・古川高晴(35)=青森市出身、近畿大職=が、常日頃意識していることだ。新型コロナウイルス感染症の収束のめどが立たず、五輪.....
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 「日々成長すること、後退しないこと」。ロンドン五輪アーチェリー個人銀メダリストで、5大会連続出場の期待が掛かるベテラン・古川高晴(35)=青森市出身、近畿大職=が、常日頃意識していることだ。新型コロナウイルス感染症の収束のめどが立たず、五輪開催自体が不安視される現状でも、「練習をやめるわけにはいかない。開催されると信じて練習するだけ」と気持ちが揺らぐことはない。きょうも一歩一歩、鍛錬の道を歩んでいる。[br] 3段階選抜で行われる五輪代表選考会のうち、2次をトップ通過。4月上旬の最終選考に照準を合わせよう―としていた時に、延期の一報が飛び込んできた。直後に最終選考も1年後に延び、練習拠点の近畿大も使用禁止になった。[br] 自宅では矢を持たずに弓を引いて戻す「素引き」という練習を繰り返した。これまで、練習を休んだのは年末年始の1週間程度が最長だったという古川は「最初は早く練習を再開したくて仕方がなかった」。長く練習しないことで、感覚や体力がどれだけ低下するのか想像が付かず、焦りが生まれた。[br] ただ、徐々に自分の中で気持ちの整理に努めた。「延期になろうがなるまいが、東京五輪は必ず目指す場所。練習が再開した時のために何をすべきか考えることで、モチベーションを維持できた」。6月中旬の練習再開直後は感覚のぶれこそあったが、7月に入ると以前の状態に戻ってきたという。[br] 約20年の競技人生で経験しなかったような異例の事態が続く今夏だが、個人的には「性格上、五輪で結果を出そうと思いすぎると駄目になる。目先の大会一つ一つに目標を立て、クリアしていくことで、メダルの“確率”を上げる」と冷静さは決して忘れない。[br] 加えて、「五輪=ゴール」とも考えていない。「壁に向かってアクセルを踏めないように、終わりが分かると減退していくだけだから」と気負いはない。心を落ち着けて目の前の的に集中することが、未来を切り開く―。そう信じて、日々を過ごしている。近畿大アーチェリー部の練習場で鍛錬に励む古川高晴=6月中旬、奈良県生駒市(近畿大提供)