キャッシュレス決済ポイント還元事業が6月末で終了/スーパーで電子マネーの利用増、一部で駆け込み需要も

今月末で終了するキャッシュレス決済のポイント還元事業。北奥羽地方の小売店ではキャッシュレス化が進んだ一方、消費者にとっては終了の影響が大きい(写真はコラージュ)
今月末で終了するキャッシュレス決済のポイント還元事業。北奥羽地方の小売店ではキャッシュレス化が進んだ一方、消費者にとっては終了の影響が大きい(写真はコラージュ)
昨年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、景気対策で導入されたキャッシュレス決済のポイント還元事業が今月末で終了する。北奥羽地方の小売店はキャッシュレス決済の利用が伸長し、残り期間が5日間となって一部では駆け込み需要も見られる。一方、新.....
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 昨年10月の消費税率10%への引き上げに伴い、景気対策で導入されたキャッシュレス決済のポイント還元事業が今月末で終了する。北奥羽地方の小売店はキャッシュレス決済の利用が伸長し、残り期間が5日間となって一部では駆け込み需要も見られる。一方、新型コロナウイルス感染拡大の余波が地域経済に広がっており、7月以降に消費増税の影響が顕在化する可能性も高い。消費者にとっては、最大5%還元のお得な制度が終了し、増税の重みが再び家計にのし掛かる場面が多くなりそうだ。[br] スーパーの「よこまち」(八戸市)は還元事業に登録し、昨年8月に電子マネー機能付きポイントカード「こまちカード」を導入した。現在の利用率は30%を超え、キャッシュレス決済全体では約40%に上る。[br] 担当者は「シニア層もこまちカードを使うなど、ポイントを意識する人が増えた」と説明。今月末までは米や酒などの駆け込み需要があると見込んでいるが、「その後の影響は分からない。200円で1ポイントが付く電子マネーのお得感をアピールし、引き続き利用を促したい」と話す。[br] 還元事業対象のスーパー「カブセンター」などを展開する紅屋商事(青森市)では、若い世代を中心にキャッシュレス決済の利用が増えた。担当者は「売り上げも多少は上向いた。事業終了に伴う独自の代替策は考えていないが、商品の価格やイベントで“還元”したい」との考えを示す。[br] 今回の還元事業の対象は中小店舗など。ホームセンターの「サンデー」(八戸市)は対象外だが、今年5月に電子マネー機能が付いた「サンデーWAONカード」を新発行。来年2月末までに従来のポイントカードを順次切り替え、新たなカードを中心にキャッシュレス化を進める方針だ。[br] 川村暢朗社長は「このタイミングで、便利で特典のあるカードを提案し、消費者の“ポイント熱”が冷めないように販売活動に生かしたい」と狙いを明かす。[br] 一方、コロナ禍が長引く中、還元事業終了で個人消費がさらに減退する懸念も根強い。八戸市の八食センターにある鮮魚店「和宏」の横手彰一取締役は「コロナの影響が大きく、ポイント還元の終了も重なって今後の状況は見通せない」と指摘。「キャッシュレス決済の選択肢が多いメリットを生かし、売り上げ回復につなげたい」と強調する。[br] 地元経済団体は動向を注視する構え。八戸商工会議所の山内隆専務理事は「事業者にとって還元事業の効果は少なかったと思う。今はコロナの影響が強く、新たな国の景気刺激策があってもいいだろう」とした。[br] 消費増税で家計の負担が増す消費者にとって、ポイント還元の恩恵は大きかった。八戸市内のスーパーで買い物をしていた同市長苗代の40代主婦は「日々の生活に必要な食品や日用品でも、5%が還元されるのはありがたかった。これから増税の影響を重く感じることになりそう」と語った。今月末で終了するキャッシュレス決済のポイント還元事業。北奥羽地方の小売店ではキャッシュレス化が進んだ一方、消費者にとっては終了の影響が大きい(写真はコラージュ)