観光施設、繁華街の人出戻らず/青森、岩手両県の緊急事態宣言解除から1カ月

青森、岩手両県などの緊急事態宣言が解除されてから1カ月。八食センターは客足の回復に向けて模索を続ける=14日、八戸市
青森、岩手両県などの緊急事態宣言が解除されてから1カ月。八食センターは客足の回復に向けて模索を続ける=14日、八戸市
新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が青森、岩手両県などで5月14日に解除されてから1カ月がたった。北奥羽地方の観光関連施設や繁華街の人出は回復しておらず、以前のような活気を取り戻すには至っていない。外出控えや消費減退による経済活動.....
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 新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が青森、岩手両県などで5月14日に解除されてから1カ月がたった。北奥羽地方の観光関連施設や繁華街の人出は回復しておらず、以前のような活気を取り戻すには至っていない。外出控えや消費減退による経済活動への影響は、しばらく長引くとの見方が強いようだ。19日には県をまたぐ移動も全国で解禁される予定だが、事業者には期待と不安が交錯する。コロナ危機に直面した事業の立て直しに向け、有効な打開策を探っている。[br] 青森県内の観光関連施設でトップの集客力を誇る八戸市の八食センターは、依然として客足に課題を残している。4月よりは持ち直したが、緊急事態宣言の解除後も平日は前年同期の7割程度、土日は多い日でも8割の回復にとどまる。[br] 県内の感染者が未確認の6月で見ても、13日時点で7割弱と客足は鈍い。地元客は戻りつつある半面、近隣県から大型バスで訪れる客や観光客の来場が落ち込む。ある鮮魚店の関係者は「消費額の大きい観光客が少なく、売り上げはまだまだの状況だ」と明かす。[br] 八食事務局の佐々木俊文課長は「県をまたいだ移動が全国で解禁された時にどうなるか。国や県の観光キャンペーンも注視し、反転攻勢に備えたい」と強調。現在は閉鎖中の子ども向け施設「くりやランド」なども、順次再開する方向で検討を進めている。[br] 青森県内有数の観光スポットである奥入瀬渓流。十和田市焼山地区の複合施設「奥入瀬渓流館」は5月23日に休館を解いた。地元客の姿は見られるが、メイン層である国内外の観光客の来館は少なく、土産品などの売れ行きも振るわない。[br] 施設を運営する十和田湖ふるさと活性化公社の赤石孝幸理事は「関東や外国からの旅行客が戻らなければ厳しい状況。国の観光支援事業が機能すれば非常に助かるが、コロナが再び流行するのも心配だ」と期待と不安の両面をにじませる。[br] 久慈市山形町の宿泊施設「平庭山荘」は、緊急事態宣言の解除後も状況は好転せず、5、6月の売り上げは例年の2~3割ほど。入浴客は戻りつつあるが、宿泊客はほぼいないという。[br] 施設を運営する市の第三セクター・平庭観光開発の下舘満吉社長は「まだ不安を感じている方が多いのだろう。この状況が長く続くと想定し、何か手を打ちたい」と話す。6月からは「V字回復キャンペーン」と銘打って格安の宿泊プランなどを打ち出し、近隣県からの誘客を図っている。[br] 一方、北奥羽各地の繁華街では、臨時休業していた飲食店が営業を再開した。ただ、客足低下で飲食業者の体力はさらに弱まっており、八戸市中心街では緊急事態宣言の解除後に閉店を決めた店舗も散見される。[br] こうした状況を受け、八戸中心商店街連絡協議会は感染防止に努める店舗にフラッグバナーを掲示する取り組みを企画し、安全性を発信する方針。松井正文会長は「市民の皆さんが緊張感を持って行動したため、感染は広がっていない。今後は安心感を持って飲食や買い物をしてもらえるようにして、以前のにぎわいを取り戻したい」と話した。青森、岩手両県などの緊急事態宣言が解除されてから1カ月。八食センターは客足の回復に向けて模索を続ける=14日、八戸市