高校野球への情熱再び 名将・山下さん(南部町)名農高指導者に

練習試合前、名農高の硬式野球部員にアドバイスする山下繁昌さん(右から2人目)=5月30日、南部町の名農高グラウンド
練習試合前、名農高の硬式野球部員にアドバイスする山下繁昌さん(右から2人目)=5月30日、南部町の名農高グラウンド
南部町の青森県立名久井農業高グラウンド。5月30日、創部7年目の硬式野球部が今季最初の練習試合に臨むに当たり、ベテラン指導者からアドバイスを受けていた。「練習してきたことを出し切って、気持ちで負けないようやっていこう」。穏やかな声の主は、山.....
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 南部町の青森県立名久井農業高グラウンド。5月30日、創部7年目の硬式野球部が今季最初の練習試合に臨むに当たり、ベテラン指導者からアドバイスを受けていた。「練習してきたことを出し切って、気持ちで負けないようやっていこう」。穏やかな声の主は、山下繁昌さん(66)=同町=。かつて八戸工大一高を甲子園に春夏通算5度導いた名将だ。「長年住んでいる地元に恩返しできれば」。約6年ぶりにグラウンドに“復帰”し、熱く優しく部員16人と向き合っている。[br] 山下さんは名門・報徳学園高(兵庫)、日大でプレー。大学の恩師の勧めで、1978年から2008年まで工大一高の監督を務め、1987年春のセンバツでは8強入りを果たした。08年以降は総監督として後方支援に回り、14年の定年退職とともに退任。現在は県立八戸工科学院の非常勤職員として就労支援を担当する傍ら、八戸市内で中学生に野球を指導している。[br] 工大一高在任中から30年以上、妻の出身地である南部町で暮らしている。今年2月になって、名農高や町内の野球関係者から「三戸郡で硬式野球に取り組む子どもたちの力になってほしい」と外部コーチを要請された。[br]「まだ高校野球の現場に携わりたい」。しばらく高校野球の第一線から離れていたが、指導者としての情熱が再び燃え上がり、快諾した。[br] 山下さんの指導は、仕事が休みの土日が中心。伝えているのは基本の大切さだ。「一歩目の踏み出し方は走塁、守備の両面で大切」と熱っぽい。教わる部員のまなざしも真剣で、中野春貴主将(3年)は「打撃の時の腕の使い方や、新しい練習法、試合での心構えなど勉強になることが多い」とうなずく。[br] この日は工大一高との練習試合。県内有数の強豪校との一戦に、地元関係者も熱視線を送った。郡内で、硬式野球部への入部を希望する中学生は同市内の高校に進学する傾向にあるが、名農高野球部後援会長の船場徳身さん(60)は「(山下さんの)豊富な経験に裏打ちされた技術的な指導は、きっと子どもたちのためになる。『地元で(野球を)やってみよう』と思ってもらうきっかけになれば」と今後に期待を寄せる。[br] 今年4月に同校へ赴任した葛西大介監督(35)は「自分は学生時代も硬式野球に触れたことがなかったので、心強い存在」と尊敬の念。前監督で、本年度に県立三沢高に異動した平上慎之介さん(24)は「町を愛する山下さんの思いと共に、地域に愛され、応援したくなるようなチームになってくれれば」と、選手たちの成長を願っていた。練習試合前、名農高の硬式野球部員にアドバイスする山下繁昌さん(右から2人目)=5月30日、南部町の名農高グラウンド