ICT教育の環境整備が加速 利活用に課題多く/青森県南の公立小中  

青森県南地方の公立小・中学校で、インターネットを活用した教育の導入に向けた動きが加速している。新型コロナウイルスの感染防止対策の一環として、政府がICT活用事業を前倒しで実施する方針を示したことに伴う対応で、児童生徒に1人1台の端末を導入す.....
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 青森県南地方の公立小・中学校で、インターネットを活用した教育の導入に向けた動きが加速している。新型コロナウイルスの感染防止対策の一環として、政府がICT活用事業を前倒しで実施する方針を示したことに伴う対応で、児童生徒に1人1台の端末を導入することなどが主な柱。多くの市町村は、2020年度中の端末導入を目指している一方、本格的な利活用の在り方については課題も多く、効果は未知数だ。[br] 政府は19年12月に「GIGA(ギガ)スクール構想」を打ち出し、ハード面では「端末1人1台」や、小中高校、特別支援学校などの校内における高速大容量のネットワーク環境整備の推進を決めた。[br] 当初は23年度までの完了を目指していたが、新型コロナ感染予防のため全国各地で休校が長期化したことを受け、今後、休校措置を取った場合でも学びの機会を保証できるよう、20年度内の実施を見越して補正予算を計上した。キーボード付き端末導入は1台当たり最大4万5千円、校内環境整備は半額をそれぞれ助成する。[br] 県南地方で既に「1人1台」を実現しているのは風間浦村だけで、一部学年で実施している市町村も少数にとどまっている。本紙取材によると、5月末時点で、東北町を除く全ての市町村がこの助成制度を利用する意向で、大半は20年度中に予算を計上する方針。三沢市などは早くも6月の市議会定例会に提案する補正予算案に盛った。[br] 端末は県教委と共同で調達する市町村も多く、一部では21年度に導入がずれ込む見通し。20年度内の導入を予定する市町村でも「全国で需要が集中する中、実際に間に合うかどうか分からないので、早めに発注しないと」(三戸町教委)と懸念する声は根強い。[br] 端末は校内での利用が原則で、休校などの際には各家庭へ持ち帰っての利用が想定されている。ネット上の民間教材の利用や遠隔授業、教員による課題の配布などが主な用途だ。[br] ネット環境が不十分な家庭への支援策については、モバイルルーターの貸し出しや、環境が整っている公民館施設などに出向いての利用などが検討されているが、まだ白紙状態の自治体も多い。八戸市教委の担当者は「(ルーターの)貸し出しの場合、各家庭の子どもの人数などによって必要な容量が異なる。不平等にならないよう、ネットの利用料金もどこまで助成すべきか、悩ましい」と打ち明ける。[br] また、教員による利活用の研修は今後本格化する見通しだが、「普段の業務量に新たな負担が増してしまう」(六戸町教委)、「本当に使いこなせるだろうか」(野辺地町教委)などと不安視する声は多い。さらに有害サイトへの接続防止や会員制交流サイト(SNS)内でのいじめ防止といった、子どもへのネットのルール、モラルの浸透も大きな課題となる。学校現場では当面、試行錯誤が続きそうだ。[br] 八戸市教委の伊藤博章教育長は「学校教育はマンツーマンが本領で、ICTの活用はまだ補助的な扱いといってよい。本格的な活用にはしばらく時間を要する」と指摘した。