「さらなる挑戦」基盤強化が急務、品種改良進む/連載・下「輝け まっしぐら」

初の特A取得で久々に存在感を示したまっしぐら。安定生産と高品質化に向けた挑戦が続く=2018年9月、十和田市
初の特A取得で久々に存在感を示したまっしぐら。安定生産と高品質化に向けた挑戦が続く=2018年9月、十和田市
食味、収量が共に優れていた2019年産のまっしぐら。近年は業務用米に特化した他県産の品種が増え、競合に備えた生産基盤の強化が急務となっている。県や関係者は、より安定生産を目指した最新技術の導入や新品種の開発など、将来の発展に向けた挑戦を続け.....
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 食味、収量が共に優れていた2019年産のまっしぐら。近年は業務用米に特化した他県産の品種が増え、競合に備えた生産基盤の強化が急務となっている。県や関係者は、より安定生産を目指した最新技術の導入や新品種の開発など、将来の発展に向けた挑戦を続けている。[br] 県は20年度から2年間、まっしぐらの品質向上に取り組む。既に県産ブランド米「青天の霹靂(へきれき)」の水田で活用している「刈り取り適期マップ」を導入する考えだ。[br] マップは、人工衛星で撮影した画像データを分析する観測技術「リモートセンシング」を活用して作成。水田を上空から観察することで稲の状態を常に見極め、最適な収穫期を把握する。刈り遅れを防ぐほか、生育環境が微妙に異なる水田の特徴に合った管理を行い、品質の均等化を進める狙いがある。[br] 20年度は津軽地方の水田30地点が対象で、8月をめどに実証試験を行う。県農産園芸課の近藤幹三課長は「他県産の業務用品種に対抗できるよう、高品質なまっしぐらを生産できるようにしていきたい」と意気込む。 一方、まっしぐらの遺伝子を生かした新たな品種改良も始まっている。[br] 弘前大農学生命科学部の石川隆二教授(57)=遺伝育種科学=は、県産米「恋ほのか」との交雑による品種改良に取り組んでいる。食味の良いまっしぐらと、高温で米粒にひびが入る「胴割れ」に強く、耐冷性もある恋ほのかを掛け合わせた品種を開発中だ。[br] 県内のコメ作りについて、石川教授は「19年のような暑さになる年もあれば、冷害の被害を再び受ける年もあるだろう」と指摘。「どのような気象条件にも応じた品種作りを進めていくことが重要。なるべく早く取り組む必要がある」と力を込める。[br] 新品種の魅力については「県南地方のコメ作りのレベル向上が期待される。県内でより高品質の良食味米が作りやすくなるのではないか」と明るい見通しを示す。[br] 19年産米の特A取得を通じ、久々に存在感を示したまっしぐら。気候変動の影響による生育環境の変化や、担い手不足など課題が山積する中、県内のコメ作りの“希望の光”となることができるのか―。関係者の模索は続く。初の特A取得で久々に存在感を示したまっしぐら。安定生産と高品質化に向けた挑戦が続く=2018年9月、十和田市