コロナ影響 県内損失1661億円/弘大講師、20年度推計

弘前大人文社会学部の桑波田(くわはた)浩之講師は27日、新型コロナウイルス感染症が青森県経済に与える影響の推計を公表した。外出や旅行の自粛、国内外からの集客を見込む大型イベントの中止などで、2020年度の損失額は1661億円と見込まれ、2万.....
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 弘前大人文社会学部の桑波田(くわはた)浩之講師は27日、新型コロナウイルス感染症が青森県経済に与える影響の推計を公表した。外出や旅行の自粛、国内外からの集客を見込む大型イベントの中止などで、2020年度の損失額は1661億円と見込まれ、2万2989人分の雇用が消失すると試算。桑波田講師は「感染拡大が長期化すればマイナスは深まる」とし、「現状を把握することで、適切な施策を早期に展開していく必要がある」と指摘した。[br] 試算は、新型コロナがこのまま終息を迎えた場合を想定。緊急事態宣言下(フェーズ1)の4月16日~5月14日と、観光産業の最盛期(フェーズ2)にあたる4~9月の2期間を分析して合計を本年度の影響とした。年間の財やサービスの産業間取引をまとめた「産業連関表」の最も新しい11年度を基準に用いた。[br] フェーズ1では、各経済団体のデータを基に、緊急事態宣言で特に影響を受けた飲食、娯楽サービス、宿泊、小売り、旅客輸送の5業種で算出。政府が接触機会の8割減を目標にしたことから、客足などが2割になったと仮定すると、県内の生産額は基準年度と比較して818億円減少。生産額から原材料費などを差し引いた県内総生産額は551億円減で、1万2306人分の雇用が消失するとした。[br] フェーズ2は、感染リスクを警戒し旅行などが控えられる期間で、弘前さくらまつりや青森ねぶた祭などの主要イベントが軒並み中止になり、大打撃を受ける観光産業への影響を分析。18年の観光入り込み客数や観光消費額などを勘案すると、生産額は842億円減、県内総生産額は446億円減で、1万683人分の雇用が失われるという。[br] 二つを合わせた20年度全体は生産額が1661億円減で、この額が損失額となる。県内総生産額は約2・1%下がり998億円減、雇用者数は2万2989人減少すると結論付けた。[br] 今後の施策として▽飲食・宿泊需要の喚起▽在宅需要の取り込み▽オンラインの活用による地理的不利の克服―の3点を提案した。[br] 今回の試算について、桑波田講師は「県内では感染拡大が抑えられ、主要産業の農業が打撃を受けておらず、影響は想定以上には膨らまないだろう」と説明。「ただ、移動の自粛は続くとみられ、観光業の先行きは厳しい。今後も分析を継続し、影響の把握に努めていく」と述べた。