「困っている人の力に」女子中学生、一人でマスク50枚製作、市保健所に寄贈

手作りのマスクを寄贈した吉田このみさん=18日、八戸市立市川中
手作りのマスクを寄贈した吉田このみさん=18日、八戸市立市川中
新型コロナウイルスの感染拡大によるマスク不足が全国的に問題となっていた4月。暗いニュースに心を痛め、行動を起こした中学生がいる。八戸市立市川中3年の吉田このみさん(14)は学校の休校期間を利用し、一人で布マスク50枚を作り、市保健所に寄贈し.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大によるマスク不足が全国的に問題となっていた4月。暗いニュースに心を痛め、行動を起こした中学生がいる。八戸市立市川中3年の吉田このみさん(14)は学校の休校期間を利用し、一人で布マスク50枚を作り、市保健所に寄贈した。「困っている人の力に少しでもなれれば」。誰もが不安になる中、純粋な思いが現場で頑張る人たちを励ました。[br] 「時間があるなら作ってみたら」。きっかけは母親の何気ない一言だった。医療や介護施設などのマスク不足が連日のように報じられていた4月上旬。解決を願いながらも、初めは中学生の自分にはどうしようもない問題のように思っていた。手に入らないなら作ればいい―。発想の転換が心を動かした。[br] 裁縫や工作は得意で、小学生の頃から、髪飾りを作ったり、既製品のポーチをアレンジしたりしていた。母親が洋服作りを趣味にしていたこともあり、家には材料がそろっており、すぐに作業を始めた。[br] 利用する人のことを思い浮かべながらマスク作りに当たった。肌触りや通気性が良いことから、生地にはダブルガーゼを使用。いろんな人が着けることを考えて、色や柄、ゴムの太さなどを変え、さまざまなデザインを用意した。[br] ゴムの取り付け方も工夫した。太いゴムを結ぶと、結び目が大きくなり、見た目も不格好になってしまう。そこで、ゴムの端と端を縫い合わせることにし、見た目や着け心地にこだわった。[br] 受験勉強の合間にこつこつと製作を進めた。現場で奮闘する人たちへのエールを込めて一枚一枚作ったマスクは1カ月足らずで50枚となり、4月30日にまとめて寄贈した。[br] 吉田さんは「作っている間、ずっとニュースを見ていた。マスクが足りないと言っている人たちを見て、頑張ろうと思えた」と振り返る。[br] 市では、寄贈されたマスクを窓口対応の際に使用。着け心地が良く、見た目もかわいらしいと職員らに好評だという。[br] 感染の収束を願うのは子どもたちも一緒だ。市内では公立小中学校が今月7日に再開されたものの、4、5月に予定されていた行事はほとんど中止。修学旅行は9月に延期された。[br] 「このままだと、修学旅行がなくなるかもしれない。部活動もまだできないし、受験もある。早くコロナが落ち着いてほしい」。まだ不安の中にいる吉田さんだが、今回の経験は心のもやもやを少し晴らしてくれた。「作り終えて、今までにない達成感だった。今後もやってみたい」。笑顔がはじけた。手作りのマスクを寄贈した吉田このみさん=18日、八戸市立市川中