つがる市の国道で2018年9月、飲酒運転の車が暴走し4人が死亡した事故で、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)の罪に問われた、同市森田町大館千歳、無職高杉祐弥被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が25日、青森地裁(寺尾亮裁判長)であった。検察側は「被害結果が過去に例のないほどに重大」として懲役20年を求刑、弁護側は無罪を主張して結審した。判決は6月8日。[br] 検察側は論告で時速50キロの制限速度の約2・5~3倍以上の高速度で運転しており、前方を注視して危険に対処できない状態にあった―などと指摘。「事故現場の800メートル手前の時点でアルコールの影響により正常な運転が困難な状態に陥っており、そのことを認識していた」と結論付けた。[br] 一方、弁護側は事故までに現金自動預払機(ATM)を問題なく操作でき、複雑な道路状況に応じて運転できていたことなどから「アルコールの影響で正常な運転が困難な状態にあったとまでは言えない」と主張した。[br] 論告に先立ち、被害者遺族4人が意見陳述を行った。このうち亡くなった女性=当時(30)=の父は「車が猛スピードで迫り、自分に何が起こったのか分からないまま意識を失った娘の恐怖を想像すると胸が苦しくなる。私は被告を死ぬまで許しません」と話した。[br] 犠牲になった運転代行運転手の男性=同(63)=の妻は「飲酒をし、飲み足りないからという身勝手な理由で起こした事故。車を凶器にした恐ろしい殺人と何ら変わらない」と訴え、厳重な処罰を求めた。[br] 最終意見陳述で証言台に立った高杉被告は、遺族が座る傍聴席を振り返り「本当に申し訳ございませんでした」と深く頭を下げた。