農作業負担軽減 LEDに期待 八戸市農業経営振興センターが実証試験

LEDを照射している実験ほ場。イチゴ(左)には緑色、カンパニュラには赤い光を当てている=3月、八戸市農業経営振興センター
発光ダイオード(LED)の光を照射することで農業経費や農作業の負担を減らす取り組みが近年、農業関係者の注目を集めている。品目や光の波長に応じて、虫害の防除や農作物の成長を促進・抑制する効果が見込まれているためだ。八戸市農業経営振興センター(.....
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 発光ダイオード(LED)の光を照射することで農業経費や農作業の負担を減らす取り組みが近年、農業関係者の注目を集めている。品目や光の波長に応じて、虫害の防除や農作物の成長を促進・抑制する効果が見込まれているためだ。八戸市農業経営振興センター(久保昌広所長)でも2019年度から、イチゴとカンパニュラ栽培について三八地域での適性を確かめる実証試験を始めており、関係者が効果に期待を寄せている。  農業におけるLEDは当初、植物工場のような完全室内栽培用の光源として導入されたが、さまざまな光の波長が農作物の成長に効果的であることが徐々に判明。各民間メーカーは現在、各品目の特性に応じた専用のLED電球を開発し、一般のハウス栽培向けへの普及を図っている。  同センターでも八戸農協や地元農家らの要請を受け、実証試験に着手。19年度は八戸特産のイチゴと、既に宮城県で実証実績のあるカンパニュラを対象とした。  イチゴでは四国電力の子会社・四国総合研究所(高松市)などが開発した緑色LED電球を使用。冬イチゴ収穫期の12~3月、休眠防止用に使われる通常の白熱電球に代わり、毎日夕方に3時間照らしている。  この電球は農作物の品質向上のほか、イチゴに被害を及ぼすハダニを捕食する天敵のダニ類を誘引するとしている。調査を担当する外和昌大技師は「効果が大きければ、防除薬剤を減らしながらダニ被害も抑えられる」と強調。トマトやミニトマトでも同様の効果をうたっていることから、今後はトマト類についての検証も検討している。  カンパニュラには機器メーカーの鍋清(名古屋市)が販売する赤色LED電球を導入。三八地域では10月に定植後、2月から加温・白熱電球電照で収穫期を4~5月に早めるか、無加温で5~6月に収穫するのが一般的だが、同センターではこれを無加温・赤色LED電照で、収穫期をどの程度まで早められるかを検証している。  定植直後から毎日深夜に4時間電照を続けたところ、現時点では現行の栽培方法より成長が早まっているという。この電球はトルコギキョウの場合、逆に成長を抑制する作用があるとしており、調査担当の佐々木達也技師は「うまく調整すれば秋冬期にカンパニュラ、春夏期にトルコギキョウと、同じ畑地での輪作体系が可能ではないか」と展望を描きつつ、開花促進に伴う品質低下への対策を課題に挙げる。  専用LEDの価格帯は現在、1球当たり5千~1万円と高額相場なこともあり、実際に導入している農家はまだ少数だ。外和技師は「電照効果が実証されたり、普及によって低価格化が進むことで、三八でも導入が進むのではないか」としている。  同センターでは今後、実証実績がまとまり次第、市民に公表する予定。