【新型コロナ】かぶーにゃ開業延期、蕪嶋まつり中止など祝賀ムード一変「コロナに翻弄された」/八戸

オープンが延期した「かぶーにゃ」。杉本健一さんは「鮫のにぎわいを取り戻したい」と語る=4月中旬、八戸市鮫町
オープンが延期した「かぶーにゃ」。杉本健一さんは「鮫のにぎわいを取り戻したい」と語る=4月中旬、八戸市鮫町
新型コロナウイルスさえなければ、蕪島は多くの人でにぎわっていたのに…。今年2月に蕪嶋神社の新社殿の再建が完了し、春シーズンの地域活性化が期待された八戸市鮫町。今月17日には地元住民の悲願だった蕪島物産販売施設「かぶーにゃ」がオープンする予定.....
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 新型コロナウイルスさえなければ、蕪島は多くの人でにぎわっていたのに…。今年2月に蕪嶋神社の新社殿の再建が完了し、春シーズンの地域活性化が期待された八戸市鮫町。今月17日には地元住民の悲願だった蕪島物産販売施設「かぶーにゃ」がオープンする予定だったが、緊急事態宣言を受け開業は延期になった。施設運営事業者の代表で、鮫観光協会長の杉本健一さん(71)は「新型コロナに翻弄(ほんろう)された」と悲嘆に暮れる。やるせない感情を抱きつつ、その先にある地域のにぎわいを夢見て、1日も早い感染終息を願う。[br] 感染増加に対応した緊急事態宣言が全国に拡大したのは16日。かぶーにゃのオープン日は翌17日だったため、開設者の市は急きょ延期を決断した。[br] さらに18、19日は蕪島地区最大級のイベント「蕪嶋まつり」が予定されていたが、地元関係者による実行委員会は3月下旬に中止を決定。新生・蕪嶋神社の復活、かぶーにゃの開業、恒例の蕪嶋まつり―と、鮫地区が迎える春は順風満帆のはずだったが、新型コロナで祝福ムードは一変した。[br] 特にかぶーにゃは、10年以上前から地元が熱望してきた物産・観光の拠点だった。杉本さんは「鮫はもともと、イベント好きな人が多い地区。八戸に新幹線が来てから、鮫は海を中心に観光で盛り上げていこうと活動してきた」と話す。[br] 市が施設の開設計画を表明した後、鮫地区の団体や事業者が地元主体の運営を目指して「鮫蕪島物産販売合同会社」を立ち上げ、公募で出店事業者に選定された。代表に就いた杉本さんは「鮫が待ち望んだ施設は地元で運営しないと駄目なんだ」と力を込める。[br] かぶーにゃは木造平屋で建築面積は255平方メートル。蕪嶋神社の再建で増えると見込んだ観光客をターゲットに、八戸を中心とした青森県の特産品を取りそろえ、蕪島らしくウミネコにちなんだ土産品も用意する。[br] 三陸復興国立公園の種差海岸エリアを歩く散策客の休憩所にもなり、飲食サービスでは軽食をメインに提供。サバのおにぎり、イカの形をした串コンニャクなどを考案していた。地元農家が新鮮な野菜を持ち寄って販売する計画もあった。[br] 県外客だけでなく、八戸市民の誘客も重視する。冬季に鮫地区を訪れる観光客は夏季の2割程度。持続的な運営には地元の誘客が欠かせず、「市民が喜ぶ品ぞろえも大切にする」(杉本さん)と検討を重ねていた。[br] そんな大事な時期に、鮫地区を襲ったコロナ禍。感染拡大の余波で、地元の八戸シーガルビューホテルが閉館する悲劇もあった。[br] だが、杉本さんは決して諦めてはいない。「厳しい状況が続いているが、これで終わりじゃない。1日も早い感染の終息を願いながら、次こそ多くの人に来てもらえるように準備を進めていく。そして、再び鮫のにぎわいを取り戻したい」と自らを奮い立たせた。[br] かぶーにゃの開業日について、市は感染状況や国の方針を総合的に勘案して検討する方針。市観光課の安原清友課長は「物産販売施設に対する地元の方々の思いもある。相談しながら決定したい」と話している。オープンが延期した「かぶーにゃ」。杉本健一さんは「鮫のにぎわいを取り戻したい」と語る=4月中旬、八戸市鮫町