【新型コロナ】花き市場に大打撃 行事自粛、規模縮小など背景に

カンパニュラの生育状況を確認する澤田良實さん。花き相場の下落に頭を悩ませている=4月下旬、三戸町斗内
カンパニュラの生育状況を確認する澤田良實さん。花き相場の下落に頭を悩ませている=4月下旬、三戸町斗内
新型コロナウイルス感染拡大によるイベント中止や冠婚葬祭の縮小などを背景に、花の需要が低迷し、青森県内で相場の下落傾向が顕著になっている。花きは青果物と異なり、業務用の需要低下を家庭向けで補うことが難しく、価格低下が生産者や流通業者を直撃して.....
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 新型コロナウイルス感染拡大によるイベント中止や冠婚葬祭の縮小などを背景に、花の需要が低迷し、青森県内で相場の下落傾向が顕著になっている。花きは青果物と異なり、業務用の需要低下を家庭向けで補うことが難しく、価格低下が生産者や流通業者を直撃している。[br] 今月下旬、三戸町斗内の澤田良實さん(73)のハウスでは、出荷時期を迎えた3種類のカンパニュラが淡い色の花を付けていた。例年であれば各方面から引き合いがある時期だが、「今年はいつもの半値ほど。暖房費にも見合わないよ」と浮かない表情で話した。[br] 三八地域は、キクを中心に花き生産が盛んだ。カンパニュラは出荷作物の少ない春先の収入源として作付けされているが、今月に出荷が始まってから、引き合いは弱いまま。澤田さんは9割程度を上位等級の「秀」、残りを「優」で出荷してきたが、今年は優品の市場出荷を見送っている。[br] カンパニュラの出荷が終わると6月から輪ギクのシーズンに入る。苗約1万本は昨年のうちに注文しており、例年通り作付けする方針としながらも、「少しでも価格が動いたときに商品がないと困るので、売れるか分からないが植えておかないと」と苦しい胸の内を明かす。[br] 八戸農協三戸営農センターの戸田沢拓哉主査は「少しでも高く売るため、全国の市場動向を探っているが、どこも状況は同じ。影響が長引けば栽培を続けられない生産者も出てくるのでは」と心配する。[br] 花きの流通業者にとっては、送迎会や卒業式、入学式などが続く春は例年なら繁忙期となるが、今シーズンは行事の自粛や規模縮小のあおりを受ける。感染予防の観点から葬儀も縮小傾向で、仏花の動きも鈍い。[br] 八戸市中央卸売市場の卸売業者・八戸花きの4月1~20日の取り扱い実績は、数量が60万4293本と、前年同期比13・6%減、金額が3692万2237円で、30・4%の落ち込みとなった。担当者は「大消費地の需要が減って全国的に花が余っており、地方にも影響が徐々に波及してきている。大型イベントの八戸緑化まつりが中止となった打撃も大きい」と語る。[br] ある仲卸業者は「母の日の注文が全然入っておらず、この時期では考えられない状況。花は食べ物と違って嗜好(しこう)品なので、後回しになってしまうのだろう。一体いつまで続くのか…」とため息をつく。カンパニュラの生育状況を確認する澤田良實さん。花き相場の下落に頭を悩ませている=4月下旬、三戸町斗内