【青森・コロナ確認1カ月】日常激変、暮らしは仕事は…/八戸

新型コロナウイルスの感染が青森県内で初めて確認されてから1カ月。コロナ禍は市民生活や経済活動に大きな影響を与える(写真はコラージュ)
新型コロナウイルスの感染が青森県内で初めて確認されてから1カ月。コロナ禍は市民生活や経済活動に大きな影響を与える(写真はコラージュ)
青森県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから、23日で1カ月を迎えた。未知のウイルスは日常の風景を大きく変えた。離ればなれになった家族、客足が激減した飲食店、来店客の対応に追われるドラッグストア、現状に危機感を募らせる医療関係者.....
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 青森県内で初めて新型コロナウイルスの感染が確認されてから、23日で1カ月を迎えた。未知のウイルスは日常の風景を大きく変えた。離ればなれになった家族、客足が激減した飲食店、来店客の対応に追われるドラッグストア、現状に危機感を募らせる医療関係者―。最初の感染地となった八戸市では、それぞれが収束を願いながら、必死にもがく。[br] ■市民生活[br] 市民は、日常生活の中でいかに感染リスクを回避するかに頭を悩ませる。外出自粛に伴う経済の落ち込みも、じわじわと家計にのしかかる。[br] 「売り上げは8割以上減。残業もなくなって給料が減った」。卸売業男性(33)は苦しい現状を吐露する。卸先の飲食店は相次いで臨時休業しており、アルバイトやパートの人たちから悲鳴のような言葉も耳にする。「まだ、自分は給料が出ているだけまし」と前を向く。[br] 「密集を避けるためか、特売がなくなり、食料品の値段が高くなった気がする」と話すのは会社員女性(49)。「割引がある電子マネーをなるべく利用して、食費を浮かせようと思うけど、毎日のことだから痛い」と嘆く。[br] 感染の急速な拡大が続く東京で就職したばかりの娘(23)のことも気がかりだ。「心配だけど、今は行ってあげられない」と漏らす。[br] ■飲食店[br] 飲食店は、市民の外出自粛などで深刻な影響を受ける。感染は歓送迎会シーズンを直撃。出張客も減り、北東北有数の歓楽街は、静けさに包まれる。[br] 中心街では、この1カ月の間で、休業した店もあり、明かりもまばらに。各店ではテークアウトやデリバリーを新たに始めるなど、売り上げ低迷の打開策を模索する。[br] ただ、料理を入れる容器の費用がネックとなるなどし、新サービスに取り組めない店も少なくない。感染の収束はまだ見通せず、多くの店はウイルスとの向き合い方に四苦八苦する。[br] 居酒屋を営む40代男性は「収入が減っているのに、店を営業すると批判される。どうしろっていうんだ」とうなだれる。[br] 別の店舗の30代女性は「テークアウトをやっても手元に残るのはほんの少し。でも、今はやるしかない」と自らに言い聞かせるように語る。[br] ■ドラッグストア[br] ドラッグストアでは、マスクや消毒液の品薄状態が続く。企業や学校などで家庭での検温を求める動きが広まり、体温計の入手も困難になるなど新たな問題も生じる。[br] 県内で初めて新型コロナウイルス感染者が確認されて以降、マスクを求め、開店前から店の前に客が並ぶ「マスク行列」が問題になった。問い合わせが一日100件以上に上り、従業員が対応に追われ店舗もあったという。[br] これを受け、市内のある大型店舗では、今月から開店時のマスク販売を中止。混雑緩和に一定の効果があったとする。[br] 会計に並ぶ際、前の人と十分な距離を保つよう張り紙をするなど感染拡大防止へ向けた対策も始めた。ただ、こうした呼び掛けへの協力には、個人差もあるのが現状。店長を務める男性は「感染を防ぐために来店し、感染したのでは意味がない」として落ち着いた行動を促す。[br] ■介護・医療現場[br] 重症化のリスクが高いとされる基礎疾患のある患者や、高齢者の利用する医療機関や介護施設では、クラスター(感染者集団)の発生を危惧し、感染予防に腐心する。マスクや消毒液などの物品も底をつき始めており、神経をすり減らす。[br] 県南地方の医療機関では、町村部の公立病院が感染疑いがある患者を受け入れるためのプレハブの診察室を設置するなどして万が一に備える。市内の民間医療機関でも電話で診察を行うなど対策が広がる。[br] 介護施設では面会を禁止したり、職員全員に検温を義務づけたりと外部からのウイルス持ち込みを警戒。県内のグループホームで感染者が確認された後は、サービスを縮小する施設も出てきた。[br] 感染予防に必要な物品の確保は差し迫った課題だ。ある介護施設関係者は「職員は皆、ぴりぴりしながら対応に当たっている。早く収束してほしい」と願う。新型コロナウイルスの感染が青森県内で初めて確認されてから1カ月。コロナ禍は市民生活や経済活動に大きな影響を与える(写真はコラージュ)