【三社大祭合同運行見送り】発祥300年祝えず「残念」 “次の夏”へ思い

合同運行を見送ることとなった八戸三社大祭。関係者は落胆しながらも、地域の安寧を願う祭り本来の形に思いをはせている(写真はコラージュ)
合同運行を見送ることとなった八戸三社大祭。関係者は落胆しながらも、地域の安寧を願う祭り本来の形に思いをはせている(写真はコラージュ)
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、神社行列や山車の合同運行を見送ることとなった青森県南地方最大の夏祭り八戸三社大祭。今年は発祥300年目に当たり、盛大に節目を祝う記念の祭りとなるはずだった。ただ、これまでの長い歴史を振り返ると、伝染病や飢.....
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 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、神社行列や山車の合同運行を見送ることとなった青森県南地方最大の夏祭り八戸三社大祭。今年は発祥300年目に当たり、盛大に節目を祝う記念の祭りとなるはずだった。ただ、これまでの長い歴史を振り返ると、伝染病や飢饉(ききん)などに見舞われながらも、地域の安寧(あんねい)や疫病退散を祈り、三社大祭の歴史を紡いできた過去がある。伝統を受け継ぐ神社や山車組などは落胆の色をのぞかせながらも、祭りの本来あるべき形に思いをはせ、“次の夏”へと思いを高めている。[br] 享保5(1720)年、悪天候で凶作を危惧した八戸町の有力者たちが法霊社(現おがみ神社)に好天を祈願すると、見る見る回復。翌年、感謝を込めて長者山虚空蔵(こくぞう)堂(現長者山新羅神社)まで法霊神の渡御(とぎょ)を行った。これが今に伝わる三社大祭の起源とされる。[br] 祭りの始まりの舞台を守り続けるおがみ神社の坂本博史権禰宜(ごんねぎ)は「300年という大きな節目だっただけに、残念という気持ちは大きいが、神事を行うことでやるべきことを果たしていきたい」と力を込める。「神社は人々のより所でもある。一つの記憶として心に刻み、将来に向けてこれからも三社大祭をつなげていくことが必要だ」と訴えた。[br] 三社大祭は過去にも運行が中止となった歴史があり、その度に疫病退散や商売繁盛などの祈りを込めた山車が祭りを盛り上げてきた。はちのへ山車振興会の小笠原修会長は「附祭(つけまつり)として行列にお供し、神社とともに地域の安寧を願ってきた。終息後に全員が喜ぶ山車を作り、あらためて盛大に300年を祝いたい」と述べた。[br] 行列を彩る郷土芸能団体も気持ちは同じだ。左比代(さびしろ)虎舞の佐々木良市代表は「祭りが体に染みこんでいて、仲間と集えない寂しさはある」と本音も漏れるが、「これからも技の伝承を途絶えさせず、再び多くの人に楽しんでもらいたい」と力を込める。[br] 合同運行に続く一大イベントでもある八戸青年会議所主催のおまつり広場。毎年8月2~4日に市庁前広場で行われ、毎年多くの市民らが来場。昨年で42年目を迎え、工夫を凝らしたステージで人気を集めている。[br] 「少し物足りない夏になるが、イベントより人命の優先が大事」と同会議所の大山慎司理事長。地域の活性化を目的としており、「さらにイベントについて考える時間ができたとポジティブに捉え、来場した方の思い出になるものに高めていきたい」と意欲を示した。合同運行を見送ることとなった八戸三社大祭。関係者は落胆しながらも、地域の安寧を願う祭り本来の形に思いをはせている(写真はコラージュ)