新型コロナウイルスの感染拡大が、青森県内の宿泊業に暗い影を落とし始めている。県がまとめた観光統計調査(速報値)によると、2月の県内主要宿泊施設(78カ所)の延べ宿泊者数は、前年同月比6・5%減の14万8109人。特に八戸市(18カ所)の落ち込みが顕著で、15・4%減の3万10人に沈んだ。国内外で感染が拡大した3月は、さらなる悪化が見込まれるだけでなく、春や夏の大型イベントも中止が相次いでおり、明るい兆しは見いだせない。[br] 新型ウイルスの世界的流行が始まった2月中旬以降は、インバウンド(訪日外国人客)を中心に宿泊者数は減少。県南関係では、上北地域(9カ所)は4・1%減の3万1945人、下北地域(12カ所)は5・3%減の1万4435人だった。[br] 八戸市で大きな落ち込みが見られた理由について、市観光課の担当者は「大型建設工事が一段落したことが大きい」と説明。「新型ウイルスの影響は出始めの段階。3月以降はもっと厳しい数字になるだろう」と危惧する。 感染が広がり、各国で出入国規制が実施された3月以降は、さらなる落ち込みが予想される。県が2月末から3月上旬に行った緊急調査の結果では、3月の宿泊予約状況(延べ人数)は前年同期比で4割減。中でも、インバウンドは8割減と影響は深刻だ。[br] 県内各地では春季のイベント中止が決定。さらに、300万人近い来場者が見込まれる青森ねぶた祭は中止が決まり、八戸三社大祭も山車の運行が見送りとなるなど夏祭りの開催も厳しく、事態の長期化が懸念される。[br] 八戸ホテル協議会の倉田任康会長は「3月以降は観光客のみならず、ビジネス関連の出張も減少し、危機的状況だ」と肩を落とし、「事業の縮小を検討しながら、なんとか続けていくしかないが、終わりが見えないのが一番つらい」と嘆いた。