新型コロナが生む差別、偏見 八戸在住者も被害

世界各地で感染が拡大する新型コロナウイルス。ベトナムの空港でもほとんどの人がマスクを着用する=2月(提供写真)
世界各地で感染が拡大する新型コロナウイルス。ベトナムの空港でもほとんどの人がマスクを着用する=2月(提供写真)
世界中で感染が拡大する新型コロナウイルス。国内でも感染者が増え続けているため、海外を訪れた日本人がサッカーの試合観戦時にスタジアムから追い出されたり、暴行を受けたりといった被害が相次いで報告されている。2月以降に渡航した八戸市民らも現地で「.....
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 世界中で感染が拡大する新型コロナウイルス。国内でも感染者が増え続けているため、海外を訪れた日本人がサッカーの試合観戦時にスタジアムから追い出されたり、暴行を受けたりといった被害が相次いで報告されている。2月以降に渡航した八戸市民らも現地で「コロナ」と呼ばれ、レストランへの入店を断られたケースも。一方、市内では居住歴の長い中国人が市民から差別的な行為を受けるなど、それぞれが外国人に対する偏見を深めている現状が垣間見える。[br]  □      □[br] 八戸市の男子大学生(22)は2月1~10日、卒業旅行でベトナムを訪問。青森県内での感染の広がりがなかったため、安心して出掛けたが、現地の空港ではほとんどの人がマスクをしているのを目の当たりにし、あらためて世界的な流行であることを認識した。[br] 食事や街並みに魅了されたが、観光地では「中国人ですか?」と質問された。毎日言われるので、徐々に警戒されているのでは―と思うように。飲食店を訪れた際は、店員から「なぜマスクをしないのか」と言われ、即座に「おれたちは感染していないよ」と反論。だが、「日本人ということは感染の可能性が高いっていうことでしょ」と言われ、気まずくなってそそくさと店を出たこともあったという。[br] 「警戒する気持ちは理解できる。コロナに対する自分たちの危機感が足りなかったのかも」と振り返り、「こんな思いをするなら、国内旅行にすれば良かったかも」とつぶやいた。[br] 同月下旬、イタリアを訪れた同市の男性会社員(46)。8日間の日程で、ゆっくりと楽しむつもりだったが、観光地で「コロナ」と小声でささやかれることも。その中には、侮蔑するような表情でこちらをにらみつける人もおり、「背筋が凍る思いがした」。[br] 帰国後、テレビや新聞のニュースで、海外での日本人の被害を知った。感染が広まる中での渡航だったため、「自業自得と言えばそうだが、日本人への差別のような空気を感じた」と回顧。「早めに終息し、安心して旅行を楽しめる状況になってほしい」と願った。[br]  □      □[br] 一方、国内でも、中国人を侮辱するような行為も。八戸市内に10年以上住む40代の中国人女性は、友人とスーパーへ買い物に出掛けた際に、中国語で話していると、目の前にいた小さい女の子と母親がこちらを見ていることに気付いた。次の瞬間、母親が娘を隠すように足早に立ち去ったという。「一瞬何が起きたのか分からなかったが、警戒されていることがすぐに分かった」[br] 別の日、友人とショッピングセンターを訪れて洋服を見て回っていると、店員がさっきまでしていなかったマスクを着用。数人が店舗の裏に引っ込む姿も目撃した。[br] それ以来、外出の際は中国語を極力話さないことを決めたという。「中国が迷惑を掛けていることはとても苦しい」との本音も。「私が八戸に長い間住んでいることは誰も知らない。中国人ということだけで怖がられること。今は静かに過ごすしかない」とやりきれない思いを語った。世界各地で感染が拡大する新型コロナウイルス。ベトナムの空港でもほとんどの人がマスクを着用する=2月(提供写真)