【新型肺炎】青森県内企業「資材が来ない」 対中輸出入、正常化願う

「墓石の部材が不足している」と説明する安藤石材店の安藤友亨代表。新型コロナウイルスの影響で輸出入が停滞し、企業の生産活動に支障が出ている=4日、階上町の同社工場
「墓石の部材が不足している」と説明する安藤石材店の安藤友亨代表。新型コロナウイルスの影響で輸出入が停滞し、企業の生産活動に支障が出ている=4日、階上町の同社工場
世界的に深刻化する新型コロナウイルスの感染拡大により、青森県内企業の輸出入が停滞している。中国から材料や部材を調達する工業系企業は、現地の供給体制の不安定化が続くあおりを受け、生産活動に支障を来し始めた。大半が中国で加工された石材を用いてい.....
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 世界的に深刻化する新型コロナウイルスの感染拡大により、青森県内企業の輸出入が停滞している。中国から材料や部材を調達する工業系企業は、現地の供給体制の不安定化が続くあおりを受け、生産活動に支障を来し始めた。大半が中国で加工された石材を用いている墓石業界では、資材不足で受注が困難になるケースも。一方、中国向けに輸出する製造業者も「影響が長期化すればダメージが広がる」と憂慮する。県内には世界市場と密接な企業もあり、終息の兆しが見えない現状に危機感を募らせる。[br] 日本の墓石に使われる石材は中国産が多く、部材加工も中国の工場がメイン。業界関係者によると、新型コロナウイルスが広まった武漢市のある湖北省やその周辺などにも工場が立地しており、作業員が完全に現場へ復帰できていない。さらに物流網も乱れ、出荷が大きく遅れているようだ。[br] 八戸市の「安藤石材店」も多大な影響を受ける。安藤友亨代表は「墓石業界は盆前と春秋の彼岸前が受注の多い繁忙期だが、中国から石材が入ってこない」と現状を説明。春彼岸に合わせて注文を受けた墓石のリフォームが間に合わず、延期してもらったという。[br] 同社は精巧な石工技術を誇る老舗だが、近年は顧客ニーズに応じて中国で一次加工された部材なども利用する。安藤代表は「中国国内の正確な状況が分からない。4、5月には回復すると言われているが、先行きは見通せない」とし、一刻も早い正常化を願う。[br] 中国から資材を輸入している業種は幅広い。製造業をはじめ、自動車修理業や住宅関連メーカーなども部品を調達している。同市内のある製造業者は、液体製品を入れるタンクや容器の一部品が中国産。担当者は「一つでもパーツが足りなければ製品として販売できない」と頭を悩ませる。[br] 一方、中国に製品を供給する企業は、輸出依存度が高いほど影響が出ている。中国向けが主力の製造業者は「現地の状況が回復しないと、対策や見通しも立てられない」と危機意識が強い。食品製造メーカーの役員は「中国への輸出比率はそれほど大きくないが、終息が長引けばどうなるのか…」と不安交じりに話す。[br] 海外市場に製品を投入する製造業者の幹部は、現時点で企業活動に生じた弊害は限定的としつつ、「終息が長引けば世界マーケットへの影響は避けられない。世界的に経済が停滞し、販売価格が不安定になる」と今後の動向に懸念を示す。[br] 新型コロナウイルスの猛威は拡大しており、輸出入の正常化には相当な時間を要する見通しだ。ある地元経済関係者は「中国に対する依存度が高い業種や企業は注意すべきだ。中国から輸入している企業は物流面で苦慮し、資金繰りの対応も必要になる」と指摘する。「墓石の部材が不足している」と説明する安藤石材店の安藤友亨代表。新型コロナウイルスの影響で輸出入が停滞し、企業の生産活動に支障が出ている=4日、階上町の同社工場