【予算をみる・20年度青森県】(下)海外戦略

青森―台湾・台北線の搭乗客を見送る青森県職員(右)。県はインバウンドの誘致、台湾との関係強化などを進める方針だ=2019年11月、青森空港
青森―台湾・台北線の搭乗客を見送る青森県職員(右)。県はインバウンドの誘致、台湾との関係強化などを進める方針だ=2019年11月、青森空港
青森県は経済活性化へ向け、県基本計画で重視する「世界へ打って出る」事業を展開する。観光業の基幹産業化のため、年々増加するインバウンド(訪日外国人旅行客)をさらに誘致。地域が誇る農水産物の輸出では、カンボジアや欧州など新規市場を積極的に開拓す.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 青森県は経済活性化へ向け、県基本計画で重視する「世界へ打って出る」事業を展開する。観光業の基幹産業化のため、年々増加するインバウンド(訪日外国人旅行客)をさらに誘致。地域が誇る農水産物の輸出では、カンボジアや欧州など新規市場を積極的に開拓する。2019年に青森空港との直行便が就航した台湾とは交流機会を増やし、関係の深化を図る考えだ。[br] 県内の外国人延べ宿泊者数(10人未満の施設を含む全数)を見ると、18年は34万9050人と前年より34・1%増加。観光消費額は現行基準での調査が始まった10年以降で最高の1902億2500万円(前年比2・1%増)を記録しており、順調な伸びを示す。[br] インバウンドが増える中、旅行形態が従来の見学型から体験型へ変化している状況に対応するため、「コンテンツ話題力強化事業」(1338万円)で“名物案内人”を育成。案内ツアーの実証実験、会員制交流サイト(SNS)の発信を意識した空間演出の磨き上げを行う。[br] 滞在の質の向上へ向けては、「あおもりナイトコンテンツ強化事業」(951万円)で、宿泊客が夜の娯楽や食を楽しめるようコンテンツ開発、情報発信を強化。宿泊客増と夜間消費の拡大を狙う。[br] 18年に県内から輸出された農水産物・食品は前年比22・9%増の223億円で、比較可能な1985年以降では過去2番目に高い輸出額を記録。中国や台湾で贈答用に需要が高いリンゴが全体をけん引した。[br] 20年度は「青森りんご輸出販売力強化促進事業」(1036万円)の中で新規市場テストマーケティングを実施。カンボジアをターゲットとし、日本の大手ショッピングセンターと連携して需要を見極める。[br] 県国際経済課は「民間が飛び込むにはリスクが高い。県が先行し、富裕層の購買意欲など市場の状況を確認する」としている。[br] 最大のリンゴ輸出先である台湾は、もともと県と関係が深い地域だが、直行便就航を機にさらなる関係の強化を目指す。「台湾連携ものづくり・新ビジネス創出事業」(1118万円)では、台湾企業と接点の少ない県内中小企業とのマッチングを進める。[br] 県観光国際戦略局の秋田佳紀局長は「今の稼ぎ頭はしっかりパイプを太くし、次の稼ぎ口にもチャレンジしていく」と意欲を見せる。青森―台湾・台北線の搭乗客を見送る青森県職員(右)。県はインバウンドの誘致、台湾との関係強化などを進める方針だ=2019年11月、青森空港