【予算を見る・20年度青森県】(上)人口減少・労働力対策

人口減少克服を最重要課題に掲げる青森県。若者の県外流出に歯止めがかからず、基幹産業の農林水産業や企業が深刻な人手不足に直面する中、県は2020年度当初予算案でも対策に重きを置く。起業・創業支援や「経済を回す仕組みづくり」(三村申吾知事)に向.....
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 人口減少克服を最重要課題に掲げる青森県。若者の県外流出に歯止めがかからず、基幹産業の農林水産業や企業が深刻な人手不足に直面する中、県は2020年度当初予算案でも対策に重きを置く。起業・創業支援や「経済を回す仕組みづくり」(三村申吾知事)に向けた施策を加速させる方針だ。[br] 仕事を求める人に対し、求人がどれだけあるかを示す有効求人倍率は、高止まり傾向にあり、18年には平均倍率が1・30倍と過去最高を記録。07年に72万人いた労働力人口は、17年には67万人まで減少している。[br] 県は各産業の人材確保に向け、商工業、農林水産業、建設業を管轄する県土整備部や、保育人材の確保を目指す健康福祉部など複数の部局を横断する事業を展開。新年度はその要の役割を担う「あおもり人財確保支援センター」(仮称)を新設予定だ。[br] 「あおもり人財確保・就職支援事業」(5224万円)として青森市に開設予定の同センターは、企業と求職者の間に専門家が入ってマッチングを支援し、人材の還流と定着を狙う。ハローワークなどと連携し、企業の情報発信力や採用力の向上を目指すほか、女性や高齢者の潜在的な労働力の掘り起こしに努める。[br] 移住やUターンにかかわらず、青森に人を呼び込んで定住してもらうには、安心して生活できる基盤が欠かせない。[br] 県は女性や若者が暮らしやすさを感じるような環境を整える事業にも力を入れる。「結婚応援プロジェクト事業」(994万円)で全世代型の結婚支援システムを構築するほか、新規高卒者の県内就職率を高めるため、就職支援員を学校に配置する「高校から取り組む人口減少対策プロジェクト事業」(3304万円)も行う。[br] 県内に約3万3千人いるとされる就職氷河期世代の非正規雇用者については、「就職氷河期世代等活躍支援事業」(3500万円)で正社員化を支援する。就職活動のノウハウの提供や企業見学ツアーを行い、不安定な雇用からの脱却をサポートする。[br] 三村知事は、経済を回す仕組みづくりのこれまでの成果について「着実に良い方向に向かっている」と自信をのぞかせる。人材確保に向けた地域間競争の中で青森県が選ばれるためには、暮らす人がメリットを感じられる魅力的な施策を展開できるかどうかだ。[br][br] 20年度の青森県当初予算案が発表された。重点事業の狙いや課題を分析する。