韓国青年団が青森県訪問、県民との交流通し日韓雪解けに一役

青森大の学生と交流する韓国訪日青年団の団員。笑顔で会話を交わしていた=5日、青森市
青森大の学生と交流する韓国訪日青年団の団員。笑顔で会話を交わしていた=5日、青森市
日韓文化交流基金(東京)と青森県国際交流協会(石田憲久会長)が招いた韓国訪日青年団が、1日から7日間の日程で県内を訪れた。大学生68人を含む約80人が県民との交流を通じて日本の生活や文化を体験し、帰国後は県に関する情報を会員制交流サイト(S.....
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 日韓文化交流基金(東京)と青森県国際交流協会(石田憲久会長)が招いた韓国訪日青年団が、1日から7日間の日程で県内を訪れた。大学生68人を含む約80人が県民との交流を通じて日本の生活や文化を体験し、帰国後は県に関する情報を会員制交流サイト(SNS)などで発信する。日韓関係は昨年以降、悪化した状況が続いており、関係者は今回の訪問を機に交流の再活性化を目指す。さらに、韓国で禁輸措置が取られている水産物の安全性をPRする機会としても生かしたい考えだが、不安感の払拭(ふっしょく)は道半ばのようだ。[br] ■今だからこそ[br] 同基金は国の委託を受け、1989年から韓国青年団の受け入れ、日本青年団の派遣を行っている。両国間の関係悪化後も事業を続けており、2019年度の第4、5団を青森県に招いた。今回のテーマは「防災と食の安全」。団員は青森訪問に先立ち1月29~31日、都内で外務省から「最近の日韓関係」、水産庁から「日本の水産物の安全性」について説明を受けた。[br] 1、2日は防災態勢を確認するため、八戸市で市みなと体験学習館、はっちを見学。八食センターでは地元の海産物を味わった。その後、県内各地でのホームステイを経て、5日は青森市で青森大の学生と交流した。[br] 同基金青少年交流部の横山広子次長は「今のような状況だからこそ民間交流が重要。日本人が思っていることを知り、日本への理解を深めてほしい」と願う。[br] ■歴史と経験[br] 国際定期便青森―韓国・ソウル(仁川)線の1月利用率は75・8%(速報値)で、昨年8月以降の5~6割台に比べて改善。新型コロナウイルスの感染拡大という喫緊の課題もあり、日韓関係の悪化には一服感もみられる。[br] 第4団の宋浣範(ソンワンボム)団長(55)=韓国・高麗大Global日本研究院副院長=は「年が変わり、韓国国内の反日感情は少し緩んだ感がある」と解説。「新型コロナウイルスも、大気汚染も国境を越える。日韓を含む各国は『自分だけ安全に』という考えではなく、広い視野を持って『安全共同体』を目指してほしい」と求めた。[br] 訪問団の一人、任娜莉(イムナリ)さん(19)は大学で政治学を専攻。日韓関係の現状について「何にしても政治と歴史を別にはできないし、お互いに理解できないこともある」とする一方、「どうすればいいのか、まだ答えは出ていない。だからこそ相手の歴史を知り、経験を積んでいく必要がある」と話し、理解の“深化”を提言する。[br] ■残る不安感[br] 原発事故を理由に韓国が禁輸措置を取っている青森、岩手など8県の水産物は、負のイメージが完全には抜けきっていないようだ。[br] 任さんは「マスコミからネガティブな情報も出ている。安心して食べるには、まだ時間がかかる」という。ただ、5日に青森県の担当者から食の安全・安心対策総合指針や取り組みについて講義を受け、「現場の具体的な取り組みを初めて知ることができた」と評価する。[br] 宋団長は「科学的な結果を示しても人の不安感は簡単にはなくならない。地道な取り組みを積み重ねるしかない」と話す。[br] 講義を担当した県食の安全・安心課の阿保靜孝せいこう総括主幹は「輸出のハードルはまだ高い。解禁の一助となる取り組みを続けていく」と述べ、粘り強く働き掛けを続ける姿勢を示した。青森大の学生と交流する韓国訪日青年団の団員。笑顔で会話を交わしていた=5日、青森市