【八戸三社大祭】山車作りの夏「一生の思い出」 八戸高専5年・齋藤さん

制作した人形の鎧を前に、充実した表情を見せる齋藤伸さん=2日、八戸市の市民広場
制作した人形の鎧を前に、充実した表情を見せる齋藤伸さん=2日、八戸市の市民広場
八戸三社大祭「中日」の2日、八戸市庁前市民広場で、出陣前の山車を誇らしげに見上げる若者がいた。鍛冶町附祭若者連に参加している八戸高専5年の齋藤伸さん(19)。祭りには幼いときからお囃子などで加わってきたが、今年は初めて山車作りに携わった。来.....
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 八戸三社大祭「中日」の2日、八戸市庁前市民広場で、出陣前の山車を誇らしげに見上げる若者がいた。鍛冶町附祭若者連に参加している八戸高専5年の齋藤伸さん(19)。祭りには幼いときからお囃子などで加わってきたが、今年は初めて山車作りに携わった。来春、都内の電気機器メーカーに就職するため、最初で最後の山車制作。「慣れない作業に苦戦したが、完成したときは感動で涙が出そうになった。一生忘れられない思い出になった」と声を弾ませた。[br] 山車作りは、7月に友人に誘われたのがきっかけだった。最初は、小道具の色塗りなどを手伝っていたが、ある日、ベテランの制作スタッフから「人形のよろいを作ってみないか」と声を掛けられた。[br] 本格的な制作は未経験だったが、高専では産業システム工学を専攻しており、ものづくりは好きな方。急な話で戸惑ったが「どうせならみんなが驚くものを作りたい」と発起した。[br] 制作した山車の題名は「古代みちのく絵巻 坂上田村麻呂奇譚(きたん)」。東北にも縁のある征夷大将軍・坂上田村麻呂と蝦夷の総大将アテルイとの攻防を描いたものだ。[br] 齋藤さんは準主役となるアテルイのよろいを担当。先輩から制作ノウハウを学びながら、毎日深夜まで作業に没頭。完成させなければならないという重圧や不安、慣れない作業に苦しんだが、それでも続けられたのは、山車作りが楽しかったからだ。[br] 先輩たちの助けもあり、前夜祭の1週間前に何とか完成。「よろいの色は白にし、アイヌらしい色調にまとめることができた」と自信作に仕上がった。[br] 先輩スタッフたちも「よくやった」「いい経験ができたね」とねぎらってくれた。[br] 八戸で過ごした学生最後の夏は、生涯忘れられない思い出となった。来春以降は東京で暮らすため、山車作りには携われないが、「社会人になっても、祭りの期間中は帰省して参加したい」と熱く語った。制作した人形の鎧を前に、充実した表情を見せる齋藤伸さん=2日、八戸市の市民広場