八戸市は19日、新型コロナウイルスの影響で地域経済が疲弊する中、事業者支援や市民の消費喚起を目的とした総額約10億円の新たな経済対策を公表した。売り上げが落ち込んだ事業者を対象に早ければ6月に一律20万円を支給するほか、秋ごろをめどに市内の小売店や飲食店などで使用できるプレミアム率30%の商品券を発行するなど一挙4事業を展開する。青森県内ではクラスター(感染者集団)が相次ぎ、飲食店の客足が遠のくなど経済浮上の兆しが見えない。矢継ぎ早に対策を打ち出すことで地域経済を下支えしたい考えだ。[br][br] プレミアム付き商品券は「八戸プレミアム付商品券」として8万セットを発行。1セット1万3千円(千円券を13枚つづり)を1万円で販売し、プレミアム率は30%。事業費は約3億円、発行総額は10億4千万円を見込んでいる。[br][br] 密を避けるため、商品券の購入は、はがきや専用サイトによる事前予約制となり、応募多数の場合は抽選となる。利用できる店舗などは現在調整中で、販売、利用開始は秋ごろを予定。今後、市や八戸商工会議所などでつくる実行委員会を組織し、発行準備を進める。[br][br] 八戸プレミアム付商品券とは別に、南郷商工会が発行する「南郷商工会プレミアム付商品券」への発行支援も実施する。利用できるのは南郷地区のみで、1セット7千円分(千円券を7枚つづり)を5千円で販売し、3千セットを予定している。[br][br] 事業者への支援金給付は、昨年度に続いて3度目。農林水産業を含む市内の全業種が対象で、今年1~4月までのいずれかの月の売り上げが昨年または一昨年の同月と比べて30%以上減少した事業者に一律20万円を支給する。申請の受け付けは5月中旬を予定し、受け付けから約3週間ほどでの支給を目指す。[br][br] 外出自粛などで利用者が減っているタクシー業界への支援策も展開する。市タクシー協会が発行するプレミアム付タクシーチケットのプレミアム分や経費を市が補助するもので、昨年度に続いて2度目の実施。[br][br] 市内では5月下旬から一般高齢者を対象としたワクチンの個別接種が始まる予定で、接種場所への移動にタクシー利用が見込まれることからプレミアム率の高い高齢者向けを新たに設定。2500円分(500円券を5枚つづり)を1500円で販売する。一般向けは1セット5千円分(500円券を10枚つづり)を4千円で販売し、利用促進につなげる。[br][br] このほか、市内の飲食情報などを掲載する情報季刊誌「はちのへ中心蔵well(ウェル)」を発刊する実行委員会に対し、発行経費を補助する。[br][br] いずれの事業も財源には国の地方創生臨時交付金を活用する。21日の市議会臨時会の議決を経て、正式決定する見通し。市商工課は「議案が通り次第、速やかに準備に取り掛かりたい」としている。