【北奥羽のクマ事情】番外編 海外は厳しい自然管理

アラスカ、デナリ国立公園でのグリズリーベアー=2017年9月
アラスカ、デナリ国立公園でのグリズリーベアー=2017年9月
日本は、本州と北海道が「ブラキストン線」と呼ばれる動物相の分布境界線で仕切られています。クマの分布も、本州と四国のツキノワグマと、北海道のヒグマがすみ分けています。 ヒグマは体が大きく、故に狂暴であると思われています。雑食ですが、肉食の比率.....
有料会員に登録すれば記事全文をお読みになれます。デーリー東北のご購読者は無料で会員登録できます。
ログインの方はこちら
新規会員登録の方はこちら
お気に入り登録
週間記事ランキング
 日本は、本州と北海道が「ブラキストン線」と呼ばれる動物相の分布境界線で仕切られています。クマの分布も、本州と四国のツキノワグマと、北海道のヒグマがすみ分けています。[br][br] ヒグマは体が大きく、故に狂暴であると思われています。雑食ですが、肉食の比率が高いとも言われます。ツキノワグマに比べ体格が大きくなるので、出合い頭で一撃を受けただけでも大きな被害になるでしょう。実際、日本最大のクマ襲撃事件は、開拓期の北海道で起きています。[br][br] 最近では、知床半島での目撃がよく報じられます。同半島で漁業をなりわいとする人間と、その近くにいながらあまり干渉せず暮らしている状況と、一方、知床の観光地での観光客による餌付けやカメラマンの過度な接近による人慣れの問題が報じられています。[br][br] 海外では、ヒグマと近縁のハイイログマ(英名グリズリー)がいます。アラスカのデナリ国立公園(旧名マッキンリー)は、四国ほどの公園区域に砂利の一本道が延々と続きます。タイガの樹林帯を抜け、やがて樹木が姿を消し、ツンドラ地帯が広がります。見渡す限り高山植物の紅葉と低木と岩石の世界です。[br][br] 自然の地形に沿って山や谷を進むと、遠くに動物の姿が点在します。公園は自然保護区になっており、入場は専用のバスに限られ、研究者以外は個人の車での入場ができません。公園内の施設も、休憩所が何カ所かあるだけで、売店などもなく、人と動物が関わらないよう厳しい管理が行われています。[br][br] 2017年の来訪時は、幸運にも砂利道から50メートルくらいのところでグリズリーを観察できました。バスには全く無関心で、地面をかき回していました。[br][br] ツキノワグマに比べると、2倍以上の大きさと思われますが、基本的には草食で、冬眠前の時期はベリー類を食べ、その巨体を維持していると聞きます。アラスカでは、これほど自然豊かな場所にも関わらず、自然保護区は極めて厳しく管理していることが印象に残りました。アラスカ、デナリ国立公園でのグリズリーベアー=2017年9月